機動戦士ガンダム「戦場の絆」というアーケードゲームがあります。
これは2006年から稼働していて、
視界を埋め尽くす大きなドーム型スクリーンの中心に座り、まさしく
ガンダムのコックピットで操作しているかのごとくの体験をすることができるゲームです。
視界を埋め尽くすドーム型スクリーン!想像するだけでその迫力に身震いしますが、実際にこのゲームをプレイして
「あれ?思ったよりコックピットにいる気分にならないぞ?」と思った人もいるのではないでしょうか。
すこし話は飛びますが、「リアルさ」という意味では「写真」はリアルそのものです。が、人は写真を見ても実物と勘違いすることはありません。
テレビの映像も同じで、テレビの中の映像を実物と錯覚することはありません。これはなぜでしょうか。
人間が視覚の面で「実物」なのか「映像」なのかを区別するための手がかり、情報は実は多岐にわたっています。映像と外世界の境界線(テレビの枠)がはっきり知覚できればそれで映像だと思いますし、また右目と左目で同じ映像が見えていれば人はそれを実物ではなく平面だと思います。
で、「戦場の絆」のドーム型スクリーンは、こういったもろもろの「人間が『これは映像だ!』と判断するための要素」のうち、「映像と外世界の境界線」(テレビの枠)を見えなくしてしまおう!前方を映像で埋め尽くしてしまおう!そうすれば実物と錯覚しやすくなるよね!…というものなのです。
ところが、このシステムでもごまかせない「人の目の仕組み」があります。先述した「右目と左目で同じ映像が見える」(=視差が無い)というのもそうなのですが、もうひとつ、普段はあまり意識していない問題点が残されています。