それは2010年2月15日のことでした…。
Twitterで@kawango氏(ドワンゴ会長川上氏とよく似ていると噂の電子の妖精…いや、Twitterの場合は川上氏でいいのか??)が突然こんなことを言い出しました。
”例えば”ニコニコ動画のプレイヤーでコメントだけ立体視で浮かせるようなことをやりたいんですが、だれかやってくれるひといないですかね?
私自身はこのとき@kawango氏をフォローしていなかったのですが、なんだかいろんな方面から「MIROさん!こんなこと言われてますよ!」とこの発言がRT(転送)されてきます。いや、その、たしかに最近3Dにハマってますが!みんな、俺に期待しすぎですよ!!俺に何が出来るっていうんですか!
…と思いながら、外出先でなんとなく「アナグリフでもなんでもニコスクリプトでなんか面白いことできそうな気がするなあ」とぼんやり考えながら時々携帯でちまちまTwitterを見ていたのです。そしたら。
うおおおおお!
@drinami先生から返信が。いきなりボス登場キタコレ!+そうだその手がありました!と、2つの意味で膝ポン状態!
ここで返信されてるのは、慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科の稲見昌彦教授。「光学迷彩」などの独自の研究で有名な方。「光学迷彩を実現」というキーワードでピンとくる人も多いかも。
で、ここでサジェストされているのが「プルフリッヒ効果」。「人の眼は、暗いものは遅れて知覚する」という現象を使った錯視です。たしか以前テレビ番組でも紹介されたことがあると思いますが、有名なのは「流れる車窓を片眼だけサングラスをかけて見ると立体感が強調されて見える」というもの。
つまり
- 人間は、暗いものは遅れて知覚される
- 左目だけサングラスをかけると、左目だけ遅れて知覚される
- 「遅れる」ということは、右から左に動いているもの(=ニコ動のコメント)は、左目だけ「より左にある状態で」見える
- 左目は「より左にある状態」、右目は「より右にある状態」で見える、ということは、視差により輻輳点(画面の奥行)よりも手前にあるように錯覚される
- よって、(右から左に動いている)コメントだけが手前に飛び出してみえる
ということなのです。
原理も試してみるのもとても簡単。サングラスを片眼だけにかければいいのです。
暗くなれば暗くなるほど遅く知覚される(=視差が大きくなる=強く立体感を感じる)ので、なんかいまいちピンとこなかったらより暗くするのがコツ。可能であれば、カメラ用のNDフィルター(減光フィルター)を使うといいかもしれません。結構強烈に減光しないとはっきりとした立体感を感じられないかも。
というわけで、実験動画。
昨日は
「ニコ動のコメントを3D化」という話が@kawango 氏から出る→プルフリッヒ効果でおk、というサジェストが@drinami 先生から返る→それを見た俺が盛り上がる→夜のゆりかもめ車窓動画を撮ってくる→編集したい→Premiere体験版ダウンロード→終わらない→寝たい(今ここ
posted at 02:18:09
なんて発言をした私ですが、ダウンロードしたPremiere Elements体験版は編集したあとの動画にウォーターマークが入るっぽいので、結局この動画はいつものようにTMPGEnc 4.0 XPressだけで編集したのでした。意外となんとかなるもんです…。