2010/03/04 ■ 迷惑メールをSPAMと呼ぶ事なかれ。それは肉の缶詰だ。 Xでつぶやくこのエントリーをブックマークに追加このエントリーを含むはてなブックマーク


迷惑メールのことを「スパム」と呼ぶことは多くのかたがご存知だとは思うのですが、その由来…もあらためて言わなくてもみなさん知ってますよね。そう、モンティ・パイソンのコント(スケッチ)から来ていると言われています。元は肉の缶詰の商品名なのです。
でも、その元ネタとなった「SPAM」を販売しているホーメルフーズ社が、「迷惑メールの呼び方」についてたったひとつの簡単なお願いをしていることは意外と知られていないようです。



まず「迷惑メールのことをスパムと呼ぶ」語源についておさらいしてみます。
モンティ・パイソンによるコメディ番組、空飛ぶモンティ・パイソンに「スパムの多い料理店」(「大衆食堂」とも。原題はズバリ "Spam")というコント(sketch)があり、『豚肉と煮豆とスパム』、『卵とソーセージとスパム』、果ては『スパムとスパムとスパムと・・・(執拗に繰り返し)・・・とスパム』といった具合にメニューがスパムだらけで、店主のおばさんがメニューでスパムを連呼する度に他の客(なぜかバイキング)がスパムスパム……という歌を歌い出し、番組自体さえスパムだらけになるというものであった。これが、迷惑行為を指すスパムの始源とされている。
(Wikipediaより)
これは、インターネットの標準規約(のようなもの)であるRFCにも書かれています。

2. spam*とは何か?

大規模な迷惑メール配信や迷惑ネットニュース・ポストを指して用いられる用語「spam」は、映画/TVスタジオのカフェテリアで演じられたモンティ・パイソンの短編集に由来する。その短編では、会話のすべてが「spam spam spam spam spam spam and spam」になってしまうまでメニューにある品目それぞれが「spam」という言葉に乗っ取られてゆく。この短編が、大量の迷惑メールや迷惑ポストでメーリングリストやネットニュースグループを乗っ取られたときの有り様とあまりによく似ていることから、この用語はインターネットコミュニティで一般的に用いられるようになった。
(RFC2635日本語訳より)

つまり、「迷惑メールのことをスパムと呼ぶ」のは自然発生的に出てきた流れであって当の商標の持ち主であるホーメルフーズ社のあずかりしらぬことだったのです。自社の商品名がある日突然「迷惑メール」という意味にされてしまったのですからたまりませんよね。

というわけで、実はホーメルフーズ社は、「迷惑メールをスパムと呼ぶ」ことに対して声明を発表しています

We do not object to use of this slang term to describe UCE, although we do object to the use of the word "spam" as a trademark and to the use of our product image in association with that term. Also, if the term is to be used, it should be used in all lower-case letters to distinguish it from our trademark SPAM, which should be used with all uppercase letters.

もうここまで定着してしまったものはしょうがないので、せめて迷惑メールのことを指すときは「spam」とすべて小文字で書いて商標「SPAM」と区別してもらえませんか、ということですね。
これ、すごく簡単である程度有名な話ではあるのですが、意外と徹底されていません。みなさんもぜひひとつ気をつけてみてください。

迷惑メールをSPAMと呼ぶ事なかれ。それは肉の缶詰だ。