2010年3月30日午前11時、ついに日産が電気自動車「リーフ」の発売を正式に発表しました!
発売は2010年12月、価格は376万円から(補助金含んで299万円~)。2010年4月1日より全国の日産で予約受付を開始。バッテリーは別にして車両本体価格を下げてくる戦略…と何度か報道されていましたが、この価格はバッテリー込みとなっています。
いよいよやってきた電気自動車時代!はたしてどうなる!?
先行していた三菱i-MiEVは2009年から企業ユーザ向けへの販売が始まっていますが、一般個人ユーザへの販売はまだされていません。i-MiEVの個人ユーザ向け販売は2009年7月31日から予約受付を開始しているのですが、この予約はあくまでも「整理券をもらって列にならぶ」程度の意味合いです。予約情報到着順に4月以降の車両生産枠を確保、正式契約が2010年4月からはじまり、契約後納車開始というスケジュールになっています。
そう、i-MiEV個人ユーザ向けの正式契約が2010年4月から。
日産リーフの価格等正式発表が2010年3月30日、4月1日から予約受付開始。
さらにいえば、
i-MiEVの個人ユーザ向け予約開始が2009年7月31日から。
日産リーフの最初の発表会が(日産本社移転と同時の)2009年8月2日。
意図しているのかいないのか、すさまじいぶつけっぷりですね…。
i-MiEVとリーフの主要諸元を比較すると以下のようになっています。
諸元 | 三菱 i-MiEV | 日産リーフ |
全長(mm) | 3395 | 4445 |
全幅(mm) | 1475 | 1770 |
全高(mm) | 1610 | 1550 |
ホイールベース(mm) | 2550 | 2700 |
乗車定員(名) | 4 | 5 |
車両重量(kg) | 1100 | |
最小回転半径(m) | 4.5 | |
10.15モード交流電力量消費率(Wh/km) | 125 | |
10.15モード一充電走行距離(km) | 160 | |
バッテリー総電力量(kWh) | 16 | 24 |
定格出力(kW) | 25 | 90 |
最高出力[ネット](kW[PS]) | 47[64] | 80 |
最大トルク[ネット](N・m[kgf・m]) | 180[18.4] | 280 |
価格 | 460万円 | 376万円から |
販売方法 | メンテナンスリース販売のみ | - |
やはり諸元を眺めてみても軽自動車と普通車(リーフは3ナンバー)の違いがあります。これは実車に触れても感じるところで、日産リーフはティーダと同等の車格・i-MiEVは(当然ですが)三菱i(アイ)と同等の車格です。実際のところ車室の広さはそう大きくイメージがかわらないのですが(乗車定員は4名/5名の差がありますが、実際に大人5人で座ってみたところリーフ後部座席に大人3人は結構きつい感じでした)ドアの重厚感や内装などやはり全体的な印象は結構違います。
i-MiEVは個人向けでもメンテナンス・リース販売のみの販売手法を採用していることもあって、この価格と諸元の違いだとi-MiEVを個人で買う需要はほぼ無くなってしまいましたかね…。正式契約前に最終的な価格の決定があると思うのですが、三菱自動車ははたしてこの発表を受けてどう出るのでしょうか。i-MiEVの価格は随時下げていくつもりである、ということは以前から三菱さんで語られてはいますので、さすがにこのままということは無いと思うのですが。
充電網については、全国の日産ディーラー2200店舗へ普通充電器を設置、200店舗に急速充電器を設置とのこと。日産では従来品の半額程度となる急速充電器も開発したそうです。
電気自動車は、そもそも自宅で満充電しておく使いかた(そしてバッテリーが切れない範囲で行って戻ってくる)が主なので外出先で充電することが緊急時以外ありません。携帯電話の街頭100円充電器をどれくらいの頻度で使いますか?…というのを考えればわかるとおもうのですが、今のガソリンスタンドと同じ密度で充電設備がある必要は全く無いんですね。そこを見誤ると電気自動車の未来が読みにくいと思います。
その一方で、航続距離(長距離移動)に弱点があるのもまた事実。それは高速道路SAへの急速充電器の配備や長距離時のみガソリン車を代替車として用意する…といった手法でなんとかなるのではないかと思います。日産は、日産レンタカーと共同で電気自動車ユーザへのサポートを考えているとか。
日産リーフの実車に触れ、試作車に試乗もしましたし、三菱i-MiEVには試乗しただけでなく先述の「予約行列」に(いちおう)並んでもいます。その上で…リーフの試作車に試乗した際にも思いましたが、今回価格を見てもあらためて日産の本気を感じます。以前、原油価格・ガソリン価格が高騰したした時に「いよいよ電気自動車の時代か!?」と持てはやされましたが、その後ガソリン価格が落ち着くとともにあまり話を聞かなくなりました。が、この価格とこのクルマならじわりと浸透していく可能性は充分にあるはず。そもそも「エコ」というだけで従来より不便なクルマを高い金を出して買おう、という人はそう多くないとは思いますが、電気自動車は「エコ」(LCA削減やエネルギーソースのマルチ化)というだけではなく「乗って楽しく快適」で「便利(ガソリンスタンドへ行く必要が無くなる!)」なのです。そして「高い」というのもリーフの価格設定でかなり解消されつつあります。
プリウス発売時、ハイブリッド車は「エコだけどお得ではない(=燃料費のコストメリットよりも車両本体価格の上昇分のほうが大きい)」状態からスタートしました。電気自動車も、そういう「初期製品はコストのメリットを期待して買うものではない」、コスト以外に「先端製品である」という魅力によるプレミアムを感じる人のための製品になると思っていました。ところが(国の補助金の恩恵があるとはいえ)リーフの価格設定は、このバランスを一気に「初期の先端製品だけれども、コストのメリット…まではいかないまでもデメリットが無い」ところまで持ち込んできたのです。これは実に画期的なことだと思います。
私などは子供のころから「石油はあと20年で枯渇する」と言われ続けて育ってきたのですが、ついに、ついに、代替エネルギー時代がやってきたのかも!というワクワクを感じます。
日産の「本気の挑戦」は、はたしてどうなる!?
そして、三菱起死回生の「i-MiEV」は巻き返しなるか!?
2010年の電気自動車は本気で目が離せません!
…そして、自宅マンションの駐車場にコンセントがつく日はいつなのでしょうか…!><
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