前回記事でソニー“ミラーレス一眼”NEX-5の実写テストをお届けしましたが、その後外が暗くなったのにあわせて「手持ち夜景モード」を試してみたらこれがまたすごい。前回紹介した“手持ちHDR撮影”も凄かったけれども、手持ち夜景モードも相当なものでした。
「手持ち夜景モード」は、夜景撮影時のような暗い場所での撮影でもガンガンISO感度を上げてシャッター速度を稼ぎに行くモードです。いろいろ撮ってみた感触では、どうやらシャッター速度1/30秒を死守するようにISO感度を上げていくみたいですね。ひょっとするとレンズの焦点距離によってこの「最低シャッター速度」は変化するかもしれませんが、そこまではまだ確認していません。
すると当然ISO感度はどんどん上がって簡単にISO6400とかになるわけです。ISO1600/ISO3200までは“常用域”と言ってもいいくらいノイズの少ないNEX-5ですが、さすがにISO6400あたりからはノイズが目立ち始めます。そこで、「手持ち夜景モード」では“手持ちHDR”の時と同じように、複数枚連続撮影し画像解析することでノイズリダクションを行う、というわけです。そしてこれがまた非常に効果的に効いてきます。
見てのとおり、「え!?これがISO6400!?」と驚愕のノイズの少なさです。一般的に強いノイズリダクションはディティールの喪失と表裏一体なのですが、ノイズリダクションのためだけに多面撮影するだけあって草木や路面などを見てもディティールがよく残っています。ISO感度で2段~3段分くらいの恩恵がある感じでしょうか。当然、きちんと三脚を立てて長時間露光したほうが綺麗な結果が得られるのですが、こんな暗所撮影でも手持ちでパっとスナップできるのは本当に凄い、というか驚愕です。
しかしISO6400まで感度を上げてもまだシャッター速度が“手ぶれしない速度”に収められなくなってくると、さすがにあきらめるようです。この写真でISO6400・シャッター1/5秒。しかしこれ、「このモードで一体ドコまで行けるのよ!?」と狙って撮った、はっきりいって滅茶苦茶暗い場所です。普通手持ちで撮ろうなんて想像もしないような暗いところまで行ってようやく耐えきれなくなる…という感じでしょうか。この場面で気がついたのですが、手持ち夜景モードとセルフタイマーが同時に使えないのはちょっと残念でした。1/5を手持ちだと心情的にさすがに2秒セルフ使いたい…。でも撮られた写真を見る限りではこれでも撮れちゃってるのが凄いというか、ズームレンズのほうなので手ぶれ補正が効いたかな?
同じような複数枚撮影ノイズリダクションのモードに「人物ブレ軽減」モードがあります。ざっとテストしてみたところ、こちらは
- 手持ち夜景モードは風景がブレない程度のシャッター速度(1/30)を保てる限界までISO感度を上げるようにするが、人物ブレ軽減モードはさらに高速に、人物がブレない程度(1/250)までシャッター速度を上げようとする
- 動いている物体を判別してノイズリダクションに影響しないようにする?
というような違いがあるようです。つまり、屋内で走り回る子供を無造作に撮ってもこのクオリティでまずブレない、ということ。これはシーンセレクションではなくモードダイヤル(メニュー)に専用のモードが用意してあるのも納得というか、なかなかソニーわかってるなあというか。
手持ちHDR撮影・手持ち夜景モード・人物ブレ軽減モード、そして今回は紹介しませんでしたがスイングパノラマ機能。いままでコンパクトデジカメでは搭載されつつあったデジタル画像処理技術の粋が、高感度に強いAPS-Cサイズのセンサと合わさった時…なんかすごいモノが出来てしまった!という感覚でしょうか。
メニューなどの操作性やパンケーキレンズの画質など、フィルムの延長線上の“カメラ”として見るとアレ?と感じる部分も多いのですが、こういったカメラ内画像処理にエイヤっと身を預けてみると、ソニーが何をしたかったのかが見えてきます。これはデジタル時代に新しく再定義されたカメラなのではないでしょうか。それが受け入れられん!というのもすごくよくわかりますがw
しかしズームレンズの鏡筒、こんなに傷つきやすいとは…。みんな、カバンに入れる時は気をつけようね><
あと、予備バッテリーほしい。