というわけで、次はATMEL社純正の完成品デモキット「AT90USBKEY」を使ってPS3ハック(PSgroove)を動かしてみることにします。
AT90USBKEYは秋月電子通商などで購入可能です。秋月価格3400円(税込)。これは世界中で販売されている商品なので、秋月に在庫がなくとも探せば色々なショップで扱っているかと思います。ただし、AT90USBKEYに限らずあらゆる電子部品全般について言えるのですが、秋月電子で取り扱いがある商品はたいてい秋月だけ飛びぬけて安かったりするので他のショップで高くてもそういうもんだと思ってください。他の店がボッタくっているわけではなく、秋月が異様に安いのです。マジで。
箱の中身はこのようになっています。完成品のデモボードと、USBケーブルなど一式。実験用に電池スナップなどもついていますが今回は使いません。特に他に必要なものはありません。
さて、ハードウェアは購入時で既に完成品ですので特にすることはありません。なのでAT90USBKEYボードへファームウェアを書き込む準備をします。(ここから先の手順は前回記事とほとんど同じです)書き込みツール「FLIP(FLexible In-system Programmer)」をここからダウンロードします。Java Runtime Enviromentが既にインストールされている人は上、JREも同時にインストールする人は下のFLIPをダウンロード、インストール。よくわからなかったら問答無用で下のほう(20MBあるほう)を入れておけば問題ありません。
ここでAT90USBKEYをPCに接続します。購入直後の状態ではUSBメモリやマウスなどの複合デバイスとして認識します。認識したドライブにはこの製品のドキュメントなどが入っていますし、LEDはひたすらチカチカ点滅はするし基板についているジョイスティック(USBコネクタの反対側についている、白いスティック。上写真矢印部)を操作するとマウスカーソルが動かせたりします。本来はこういうデバイスを使っていろいろプログラミングを楽しむ(テストする)ための基板なので、せっかくですからしばらく遊んでみるのもいいでしょう。こんな代物でマウスカーソルがぐりぐり動かせるだけでもちょっとおもしろい。
ひととおり遊んだら、PSgrooveのHEXファイルを書き込むために標準のアプリを消去します。PCに接続したまま、「HWB」のボタンを押しながら「RST」をワンプッシュしてください。LEDの点滅が止まり、あたらしいUSBデバイスが認識されます。
USBドライバ選択ダイアログが出てくるので、FLIPに付属していたUSBドライバを読み込ませます。ファイルの位置は「C:\Program Files\Atmel\Flip 3.4.1\usb」。ドライバ選択画面が出てこない場合は、デバイスマネージャを開き「!」マークのついている「AT90USB128」のようなアイテムを探し右クリック→ドライバの更新、から進めます。
無事認識したところで先ほどインストールしたFLIPを起動。起動したらメニューからDevice→Select、「AT90USB1287」を選択します。
次にSettings→Communication→USBを選択。
「USB Port Connection」というウインドウが出てくるので、Openをクリックします。
このリンクを右クリック→名前をつけてリンク先を保存、として「AT90USBKEY-psgroove.hex」をダウンロードします。File→Load HEX Fileで開くファイルの選択ダイアログからそのhexファイル(AT90USBKEY-psgroove.hex)を選択してください。
※ここでエラーが出る場合は、フォルダ名などに日本語が含まれないところに.hexファイルを置いてください。特にユーザ名が日本語の場合、デスクトップやマイドキュメントなどに.hexを置いているとエラーになります。
Run、をクリックするとHEXファイルをAT90USBKEYに書き込みます。ウインドウが一瞬開いて、下に「Verify PASS」が表示されたら完了ですので、AT90USBKEYをPCから取り外します。
いよいよPS3に接続です。以下の手順で…
- PS3の主電源をOFFにする
- 書き込みが終わったAT90USBKEYをPS3に接続する
- PS3の主電源をONにする
- 電源をONにする→直後にPS3のイジェクトボタンをタッチ(ディスクが入っていなければピピピッと音がする)
起動後、XMBのゲームの項に「Install Package Files」というメニューが出現します。これで成功。未署名の(Homebrewの)アプリケーションがインストールできるようになった…はず?
一度書き込んだAT90USBKEYに再度また別のHEXファイルを書き込むには、最初にやったようにPCに接続したまま、「HWB」のボタンを押しながら「RST」をワンプッシュしてください。また書き換えられるようになるはずです。
最後に、前回と同様の重要な注意を。
本操作はPS3を非正規の状態にするものです。また、PCやPS3に手製のハードウェアを接続することになりますので、最悪の場合はPCやPS3を物理的に破壊してしまう可能性もあります。そして、PS3に非正規のソフトウェアを導入することはPS3の利用規約に反しており、将来のファームウェアアップデートやプレイステーション・ネットワークの設定変更でお使いのPS3が無効化されても(起動不能やネットワーク接続不能にされても)全く文句が言えません。そして、今の段階ではそのリスクはかなり高い、ということは必ず自覚してください。
また、ここで書き込んだPSgrooveファームウェアは「バックアップソフトが起動しないような対策をとられたもの」ですので、このままでは市販ソフトのバックアップツールは動作しません。この対策に対するパッチやバックアップソフトそのものについては私は取り扱うつもりはありません。
しかしロジックが簡単なだけにさっそくほかにも色々なUSBマイコンに移植されているみたいですね。いったいこの後どういう展開を見せるのか、ちょっとドキドキしています。