私自身はクアッドコプターのド初心者なのですが、両方入手していろいろ飛ばしてみましたので簡単に比較レビューをしてみたいと思います。
まず、そもそもなんでクアッドコプターを飛ばそうと思ったのか。
先日Engadget Fes 2014というイベントで「全日本クアッドコプター選手権」なる催しがありまして、そこで「参加者が少ないので機体を貸すから飛び入り参加者募集!」との声につい反射的に手を上げてしまったのが運の尽き。会場で初めて握るクアッドコプターのプロポ、それまで全くモード1の飛びモノなど飛ばしたことのなかった男がいきなり公衆の面前で障害物コースに挑戦、当然まともに飛ばせるわけもなく明後日の方にすっとんで行くわ後ろに飛び越えていくわで大変なことになったわけです。いやでもなんかこれちょうたのしいんですけど!
先日おもちゃショー2014で「超小型クアッドコプター」の存在は目にしていたので、その選手権飛び入りが終わった後超速で(Engadget Fes 2014を抜けだし、会場横のホビーショップで)ナノスパイダーを手にするに至ったのでした。練習して次はちゃんと飛ばしてやる!
閑話休題。
そんなわけでなぜかその後順調にQuattroXも手元に揃い、比較レビューができる体制になりました。
結論を先に書いておくと、初心者でもどちらもちょっと練習するだけで広いところでなら飛ばせるようになります。ものすごく小さいので落ちても壊れにくく、とてもかわいくて楽しい!
そしてド初心者がともかく簡単に飛ばして遊ぶなら京商エッグQuattroX(クアトロックス)、ちょいちょい調整する必要はありますが素直な操縦性を楽しみたいなら童友社NANO Spider(ナノスパイダー)かなという感じ。でもどっちもとてもいいです!
見た目はどう違う?
まず、両者に共通する特徴として- コントロールには2.4GHz帯の無線を使用。赤外線式のトイラジコンと違い、外光で操作が不安定になることはない。
- 6軸ジャイロによる補正機構を備えており、安定した飛行が可能(特性の違いについては後述)
- クアッドコプター側のバッテリーは付属のUSBケーブルを使用し充電。30分充電・5分飛行。充電終了は充電用USBケーブルのLED消灯にて確認できる。
- 交換用ローターが1セット(4枚)付属する(一部レビューでナノスパイダーには交換用ローターが付属しない旨の記述があるものがありますが、ナノスパイダーにもついてます)
童友社ナノスパイダー
もともとはHubsan Q4 NanoないしEstes Proto X Nanoと呼ばれる海外製品のOEMのようです。そのため、隠しコマンドなども含めて運用ノウハウが確立され、交換部品も揃っているのが強みと言えます。- プロポの操作方法はMODE1(右スティックで上昇・下降)とMODE2(左スティックで上昇・下降)がモデル(色)によって異なる。私が購入したのはMODE1。
- ローターガードは付属しない。DMMの3Dプリントで自作(+販売)されている方がいるようです。
- プロポは非常にコンパクトで、充電機能はない(別途USB電源が必要)。プロポは単4電池2本で駆動。
- 動作モードは操作難易度別に3段階ある。左スティック押し込みで切替え。
京商エッグQuattroX
京商オリジナルの最新製品。ボタンを押すと宙返りする機能がついていたりローターガードが付属していたりと初心者が楽しめるものを目指しているように見受けられます。- プロポの操作方法はMODE1のみ。
- なかなかよくできたローターガードが付属します。ただ当然のことながらローターガードをつけると外形的にはひとまわり大きくなります。
- プロポはそれなりの大きさがあり、先のローターガードも含め(外形サイズが大きくなるのでケースに入れるとそれなりの大きさになる)「持ち歩いてどこでも遊ぶ」を実現するためには少しつらい。ただしこちらはプロポにUSB充電の機能があります。単4電池4本で駆動。
- 動作モードは操作難易度別に2段階ある。電源スイッチの位置で切替え。
では実際に飛ばしてみると…
ではいよいよそれぞれを操作してみた印象を。童友社ナノスパイダー
- 本体とプロポのペアリングは、電源投入で即時行われる
- なかなか自由に飛ばすのは難しいが、後述するセンサキャリブレーションとトリムによる微調整を行うことでだいぶ素直な操縦性になる
- ただしジャイロによる補正があまり効いてないのか、バッテリーを消費するにつれドリフト量が変遷する。随時こまめにトリム補正してあげると安定して飛ばせる感じ。
- プロペラは結構簡単に破損する。交換用ローターは必携。ローターガード欲しい…
- ローター破損しやすいこともあり、なんかすっ飛んでいくな(うまく操縦できないな)と思ったらローターの確認必須。衝突時に微妙にローターが曲がっていて不安定になっていることがよくある。
- エキスパートモードにすると宙返りなどのアクロバット飛行も(腕さえあれば)できるようだ。
- ナノスパイダーのセンサキャリブレーション方法(加速度センサーのセンサー自身の傾きを補正する)
- 本体とプロポの電源を入れペアリング(接続)を行う
- 本体を水平な面に置く
- プロポのトリム位置を中心点にしておく(左右・前後のトリムボタンを操作し音が高い部分が中心点)
- プロポの左レバーを1回押し込み、ピピッと音がすることを確認する(スタンダードモードにする)
- 左レバーを右下いっぱいに倒しながら、右レバーを左下<>右下を素早く左右に何度も往復させる
- 本体のLEDが点滅したらキャリブレーション終了
京商エッグQuattroX
- 本体とプロポのペアリングは、電源投入後プロポ側のスロットルを最大→最小と操作することで行われる。
- 特にキャリブレーション・調整せずともわりあい安定してホバリングする。トリム調整でかなり安定。
- ただし、ジャイロによる自己補正がわりとダイナミックというか補正がおおまかというか、前後・左右に結構大きく振り子状に行ったり来たりする。中心点はまあたしかに静止してるっちゃしてるかもしれないが落ち着かないような挙動。
- その挙動さえつかんでしまえばわりあい簡単に操作できる
- プロポのボタンを押すとその場で自動宙返りアクションを行う(※バッテリーの残量が充分ある場合)。非常に簡単で、かつびっくりするようなアクションをするので楽しい。
- ローターガードはやはり安心。ローターの破損はあまりない
ナノスパイダーとQuattroXの比較
- 本体の大きさはほぼ同じ。ローターガードをつけるとQuattroXのほうが一回り大きくなる。本体の高さはQuattroXのほうが低く、見た目は重心が低いQuattroXのほうがかっこよく感じる。
- 携帯しやすさはナノスパイダーのほうが上。ともかくプロポがコンパクト。かばんに突っ込んでおいても邪魔にならない。QuattroXのローターガード込みで本体をケースに入れると本体もけっこう嵩が違う(ローターガードを外せば同等以上のコンパクトさにはなる)。
- ↑ただし、ナノスパイダーはプロポに充電機能がないため別途なんらかのUSB電源が必要。(ほかに携帯しているバッテリーなどがあればコンパクトに持ち歩ける)
- 「安心して飛ばせる」のはQuattroX。多少ジャイロ補正が暴れることはあれど、やはり調整ほとんど要らずだいたい安定して飛ばせる。比較してナノスパイダーは調整にも操縦にも練習が要る。ただ調整がバシっと決まった時の挙動はナノスパイダーのほうがとても素直な印象。
- ナノスパイダーはバッテリー残量が残り少なくなるとLED点滅で教えてくれるのは親切。QuattroXは推力不足でバッテリー切れを悟る。
- 交換バッテリーやモーターなどアフターパーツはナノスパイダーのほうが豊富。QuattroXはバッテリーの交換はできなさそうです。
- 総じて、初心者が気軽に飛ばすならQuattroX、すでに飛びモノの操縦になれている人がともかくちっこいので遊びたいというならナノスパイダー、という印象です。
ともかく広いところで思いっきり飛ばすと超楽しい!以前「おもちゃのラジコンヘリが今熱い」みたいなことを書いた時から6年!も経ってるのですが(と今自分で書いてちょっとクラクラした)、今回紹介したクアッドコプターはどちらも触っていて大きさ・性能・無線など、この6年の間にもどんどん技術革新が続いていることを実感します。
いまやおもちゃの一大ジャンルを築いた「飛びモノラジコン」。指先サイズのかわいいクアッドコプターで楽しんでみるのはいかがでしょうか。