2010/12/29 ■ ぼくのかんがえた最強の3D写真鑑賞そりゅーしょん Xでつぶやくこのエントリーをブックマークに追加このエントリーを含むはてなブックマーク


誰得な感じで地味に続けている「ビューマスター」(という70年の歴史がある立体写真鑑賞おもちゃ)のリール(ソフト)を自作しよう大作戦。ようやくひとつの形に到達しました。
自分で撮ったなにげない3Dなスナップ写真・旅行写真をレバーでカシャカシャと切り替えながら見る」というのは結構面白い体験で、たぶん実物を見てもらえれば私がなんでこんな地味に情熱を傾けているかは理解してもらえるんでないかなあと思うのですが…実物を見てもらわないと(そして自分で撮った写真じゃないと)いまいちピンときてもらえないだろうところがきついんですよねえ。。。


以前海外から購入した「ビューマスターのリールを自作するキット」は尋常ならざるめんどくささで、もうひたすら根気と根性を必要とするシステムでした。それでは「気軽なスナップや旅行写真」をリール化するのに向かなすぎる。絶対めんどくさくなって続かないよこんなの!

というわけで、なんとかリール作成作業のルーチン化、簡便化ができないかと延々試行錯誤していたわけです。ただ「リールを作ることができる」だけじゃ駄目。旅行へ行ったりしたあとに、その家族スナップをリール化するのにためらわない程度に簡単に出来る必要がある!
この「作業をためらわない程度に簡単にする(ために事前にみっちり努力する)」というのは個人的に結構好きなコンセプトで、「携帯動画変換君」も実はその流れで誕生したものです。というのは余談ですが。

ビューマスターのリールに使う台紙も、最初こそ海外の製品を買っていたんですが最終的には全部自作することに。この試行錯誤にはグラフテックのカッティングプロッタCC330-20が大活躍!はっきり言ってこれだけの精度で工作ができる(紙を切り抜ける)機械が2万円ちょいで買えるのは凄い。思いついたらすぐ正確な形で厚紙などが切り抜けるので、自分の思考を形状化するのに大変役立ちました。


で、いまのところはこんな感じの手順でリールを作ります。


STEP1: ステレオ写真をフィルムに焼く

基本は5月に作った画像生成ソフトそのままです。リールにしたい3D写真(.mpoファイル)を7枚選び、フォルダにまとめておきます。自作のリール画像生成ソフトを起動し、ウインドウにそのフォルダをドラッグ&ドロップすると自動的に7枚の.mpoファイルを展開・解析してフィルムに焼き付けるべき画像を生成。あとはそれをフィルムレコーダーでフィルムに焼き付けるだけ。
画像の生成やフィルムレコーダーの焼付け処理にそれなりに時間はかかりますが、ここでの人間の手間は「7枚の写真を選別する」ことと数回のドラッグ&ドロップ、クリックだけ

そしてリバーサルフィルム1本分の焼付けが終わったら、写真店に現像に出します。

STEP2: フィルムを切り抜く

現像が終わったフィルムを、規定の形に切り抜きます。これも手間かけたり繊細な作業にならずに済むように、治具をつくりました。フィルムの穴(パーフォレーション)をピンに差して、その上からガイド治具(これもカッティングプロッタで作りました)を差し込むと切り抜くべき形にぴったり合わさるようになっています。あとはガイドの周囲をカッターでなぞって切り抜くだけ。また、この切り抜き作業はそれほど精度を必要としないのであまり気負う必要もありません。

STEP3: 台紙にフィルムを貼る

さあここがハイライト!正確な位置合わせが必要な貼り込みです。冒頭で紹介した「海外のリール自作キット」はここがもうひたすら根性(=ピンセットで全14枚を正確に位置合わせして自力で貼れ)という感じでしたが、これを簡単にしないと話がはじまらない。というわけで、この作業も治具をつくりました。

まず治具の上に自作のリール台紙を置きます。

次にSTEP2で切り抜いたフィルムの穴(パーフォレーション)を治具のピンにパチンとはめて…

その上から自作のリール用シールを…

ぺたりと貼る。

治具からリールを取り外せば完成!!

そう、いちばん面倒な位置合わせは
・フィルムレコーダーで焼き付けるデータ上での調整
・フィルムレコーダー個体差(映像位置とパーフォレーション位置の関係)にあわせた治具作成
・同時に治具の穴の位置にあわせた自作台紙+シール
という工夫で治具にパチンとはめるだけで完了するようにしたのでした。(台紙やシール・治具などすぐにCraftROBOで自作できたからこそ可能になったソリューション)

これで、1リールあたり実作業時間(フィルムの現像があがってきてからの工作時間)は8~9分くらい。
コストは5リール製作するのに1500円くらい(1リールあたり300円くらい。現像に出す交通費やCraftROBOの消耗品代など除く)。
で、作るのに必要になる主な機材はCraftROBOとフィルムレコーダー。フィルムレコーダーはいまオークション
で1000~5000円くらいで売られてます(※ただしSCSIやドライバなど結構PC側の条件を揃えるのがたいへん)。

なかなか実用的なところにおさまったんではないかと思います。目標としては「リール製作サービスを事業として展開してほどほどの量なら家内制手工業で商売になる程度」を目指していたんだけれども、ちょっとそこまでは追いつかなかった感じ。でも、旅行後にスナップをリール化する程度だったら(自己需要だけなら)ぜんぜん面倒じゃない程度にはできました。
あとはもうちょい1リールあたりのコストが上がってもいいから、現状厚紙で作っているリールの台紙をもうちょっといいものにしたりなど見栄えを良くしたいところですね。いまのバージョンだと台紙が柔らかすぎてビューアーによっては引っかかったりしてしまうこともあるので、そういう意味でも自己需要専用という感じです。

しかし…
LYNX 3Dやニンテンドー3DSなど今後「3D(ステレオ)写真を撮る」環境が増えていくに従い、絶対なんらかの「3D写真を観る方法」が必要になってくるはず…!と信じているんですけどねえ。どうなんでしょ。