2016/06/04 ■ 【更新あり】絶対にWindowsストアでWindows 10 Home→Proへのアップグレードをしてはいけなかった Xでつぶやくこのエントリーをブックマークに追加このエントリーを含むはてなブックマーク

キャプチャ


(2016/6/26 12:00追記)
この問題についての解決編記事を書きました。本記事で挙げた問題はすべて解決しました。

(2016/6/23 11:00追記)
この問題について、Windows 10 Aniversary Updateで改善されるようです

(2016/6/8 18:30追記)
本件、MSサポートの対応(失効として取り扱うこと)自体が誤っていた、といったん認めていただきました。サポートの対応マニュアル自体が誤っている可能性もあり、あらためて確認の上連絡いただきます

世間ではWindows 10へのアップグレードについていろいろ騒がれておりますが、それとはちょっと違い、Windows 10 HomeからWindows 10 Proへアップグレードすることについて

Windowsでは、HomeやProなどのエディションによって使用できる機能がわかれておりますが、上位の機能を使いたくなった場合でも「設定→更新とセキュリティ→ライセンス認証」の画面から簡単にWindowsストアに移動し、上位エディション(Pro)へ再インストールなしでアップグレードできるようになっています。今回、私もその手順でアップグレードしたのですが、結果的にえらい目に合いました。その後マイクロソフトのサポートと細かくやりとりした結果、結論から言うと、このストアからProへアップグレードする手段は使わない方が良い、という結論に至りました細かい経緯はあとに書きますが、理由について先に要約しておきます。

【おおざっぱなまとめ】

・ストアからProへアップグレードすると、パーツひとつ交換しただけでアップグレードが無効となり1万4000円が消えてなくなります。そしてこれはそういう仕様でそういうライセンスです。

【要約】

・WindowsストアでのHomeからProへのアップグレードは、「1台のPC」に対してライセンスされる。異なるPCでは無効となる。
・「同一のPCであるかどうか」の判定基準は非公開であり、どのような条件で「違うPCとみなされるか」はユーザからは判断できない今回私は1台SSDを追加した(ほかのパーツ構成はまったくいじっていない)ことで「別のPC」とシステム上判断されたため先に購入したProへのアップグレードは無効となった。これは同一のパーツ構成ではないので仕様どおりの動作でありライセンスは無効である
・つまりここで言う「1台のPC」とは、基本的にパーツ構成などが全く変化ない完全に同一構成でありつづけるPCを指す。厳密にはそうではなく多少のパーツ構成変更があれど同一PCとみなすことはあるが、その判定基準は非開示でありユーザからは判断できない。現実としてわずかなパーツ変更でも別のPCとみなすことはあるので、ユーザ視点では「一点たりともパーツ構成の変更が許されない」と理解するしかない
・このパーツ変更が部品の故障を起因とするものであればライセンスを有効としなおすこともできるが、「容量が足りないため」などというユーザ欲求による交換の場合はそれは当然として別のPCなのでライセンスを移行することはできないこれはそういう仕様でありそういうライセンスである

 

…え?と思うかもしれませんが、これ実際私の身に起こったことで、上記まとめはすべて電話口でマイクロソフトのサポートに対して、公式の回答としてそのとおりであると確認してあります(迷惑電話対策の結果、このやりとりの電話の録音もあります)

【具体的な経緯】

自宅PCをあたらしくつくったときに、ケチってシステムドライブを128GBのM.2 SSDにした。OSは上記記事にもあるとおりリテールパッケージ版のWindows 10 Home。
Microsoft HoloLensを触る機会ができたので、HoloLensの開発もちょっとやってみたくなる。HoloLensの開発には、エミュレータを使用するために(Hyper-Vを使う)Windows 10 Proが必要。
・しゃーない、Proにアップグレードするか!


・で、アップグレードして開発するためにVisual Studioとか入れてったらモリモリとシステムドライブの容量が、、、いや、、、まあ、ゲームやってるだけだったら128GBでもよかったんだけどね、、、
・えーい、こうなったらシステムドライブも増やすか!

・1TB SSDを社内で譲ってもらい、該当のPCに増設。最初は既存のOSをそのままクローンして移行しようと思ったが、まあせっかくなのでさっぱりするか、と増やした1TB SSDを起動ドライブに設定しWindows 10をクリーンインストール。その後旧SSDから必要なファイルを新SSDへコピーしてから(旧SSDを)フォーマットして別に使おうとした

ちなみに厳密にはこの手順がライセンス違反であることがあとでサポートに指摘されました。だめなのか…(※該当手順が今回の原因かどうかは定かではない)

・すると、Windows 10がHomeのまま。アップグレードしたはずのProになってくれない。
Microsoftのサポートページには

[スタート]  ボタンを選択し、[設定]、[更新とセキュリティ]、[ライセンス認証]、[ストアに移動] の順に選択します。

Windows 10 Pro のデジタル登録情報が含まれており、Windows 10 Home が現在お使いのデバイスでライセンス認証されている場合、Windows 10 Pro への無償アップグレードを開始するように求めるメッセージが表示されます。

とあるが、この通りに操作しても「無償アップグレードを開始するように求めるメッセージ」は出ず、有償でアップグレードできる旨の購入ボタンが表示されているだけ
・ちなみにProアップグレード時には特に「Proのプロダクトキー」といったものは送られてきておらず、従来の(Homeの)プロダクトキーのままProに切り替わった。(ので、Proのプロダクトキーを入れてPro化するということはできない)

・購入履歴にはWindows 10 Proがしっかり残っていて、アカウントが違うわけでもない。もちろんインストールしたOSはまったく同じリテールパッケージ版、同じプロダクトキー。PCも同じ。ドライブだけ交換して、クリーンインストールしただけなのですが。

なんで????


…という経緯で(より細かくはいろいろ試したり確認したりしましたが)、Windowsのサポートに問い合わせ→Microsoft Storeのサポートに聞け、とのことでMicrosoft Storeのサポートに問い合わせ→やっぱりWindowsサポートに聞いてくれ、ということでWindowsサポートに再度聞く

とサポート巡回した結果、先のまとめのとおりの回答を得ました。なお、


【Windowsのライセンスについてまとめ】

・Home→Proのアップグレードをした場合、もとのHomeがリテールパッケージ版であった場合は、Homeのライセンスは「フルライセンス」と呼ばれるもので、「別のPC」に移行することも、PCの構成が変わってもライセンスを継続できる。しかし、「アップグレードの」ライセンスは元となったOSのライセンスとは別の「アップグレードライセンス」でありこれは「1台のPC」に対してライセンスされているためそのようなことはできない。
・Windows 10 Pro (パッケージ 24000円程度)とWindows 10 Home(同17000円程度)の価格差(7000円)に対して、ストアでのアップグレードが14000円であるが、このアップグレードは上記の理由によりパッケージ版Home(ライセンス移行可能)からパッケージ版Pro(ライセンス移行可能)になるわけではなく、パッケージ版Home(ライセンス移行可能)+Proアップグレード(ライセンス移行不能、パーツ変更不可)となる。

・通常販売されているHome/Proの価格差と、アップグレードの料金を見比べると、消費者目線で当然期待されるアップグレードの効果は「元のHomeライセンスが、そのままProとなる」(ライセンス移行可能なProを得る)であるが、実際に得られるのはPro相当部分がパーツ変更すら許されない、という著しく不利な契約条件である。そうであることはアップグレード購入まのステップで明示的に強制的に読ませるフローは特に無いが、
キャプチャ2
ここに記載があるのでユーザには告知してある。(※とマイクロソフトのサポートには言われたのですが、あらためて読んでもどこの記述がそれにあたるのかは全くわかりませんでした)


…という感じです。

正直私はこのやりとりの結果「ありえない」と思ったのですが(その率直な思いが本記事の表題なのですが)、みなさまはどう感じますでしょうか。

なお、最後にマイクロソフトの名誉のために補足しておきますと、私がProアップグレードを購入してから失効(SSD交換)するまでの間がわずか1週間ということもあり、何か対応ができないかどうかをあらためて検討の上1週間後めどに連絡をいただける、とのことです。あくまでも、本来のライセンスの規約に則ると無効となる、それが公式回答である、とも言われていますけれども。

…って(皮肉込みで)Windows 10 ProのAmazonリンク貼ろうとしたら、え、いまWindows 10 Proのリテールパッケージって18000円くらいなの?え、マジで??それこそ14000円出してうんこライセンス買った俺なんなの、、、

(追記:↑の安いパッケージ版はどうやら海賊版のようで。お騒がせしました+Amazonはこれがあるから怖い)





再追記:

「起動ドライブ変わってんだから当たり前じゃん」みたいな反応が散見されますが、テクニカル上の問題(システム上同一PCとみなされずアクティベーションが失敗する)とライセンス上の問題(そもそもユーザの権利がどこにあるのか)とがごっちゃになっている印象を受けます。私が主に問題視しているのは後者で、前者はまあそういうこともあるよね、というスタンスです。



「起動ドライブが変更されたらアクティベーションが引っかかる」というのは、テクニカル上まあ「当たり前」と言ってもいいかなと思っています。だが、それでライセンス自体(権利自体)が失効するというのは「当たり前」じゃない。それは「1台のPCとは何か」という定義が契約上(ライセンス上)どこにあるかという話につながります。

その観点で言えば、「PCの機器構成が変更されたので別のPCだ」という主張に対しては「PCの機器構成(ハードウェア構成)はSSDを1台『追加』しただけ」(元のドライブも接続されていますから)と返すしかありません。あくまでもライセンス(契約)の定義を問うてるのです。この問題視しているポイントの違い、おわかりいただけますかね…。

あともう一つ、最後にまとめてありますが「リテール版HomeからProへアップグレードした場合、アップグレード部分はもともとの(リテールHome)ライセンスから著しく権利が制限されるにもかかわらずそういったアナウンスが目につくところに全くない」ことも問題視しています。これは本当にまずいと思うのですが。

(2016/6/26 12:00追記)
この問題についての解決編記事を書きました。本記事で挙げた問題はすべて解決しました。