2016/01/18 ■ 週刊小型Oculusマシンをつくる(趣味全開ポータブル・ゲーミングデスクトップPCをつくった) Twitterでつぶやくこのエントリーをブックマークに追加このエントリーを含むはてなブックマーク

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Oculus Rift製品版(CV1)の予約がついにはじまり高いだとかKicksterter出資者には製品版がプレゼントされるだとかいろいろ大騒ぎです(もちろん私はKickstarter出資組!)。つまりはついに「製品版Oculus Riftが手元に届くことがリアルにイメージできる時期」になってまいりました。というわけで、市民の義務として「Oculus Riftさまをお迎えするための環境」を整えて正座しながら待たなければならないわけですよ。ですよね。

ところがOculus Riftさん、当然のことながらPCの要求スペックが非常に高いのです。グラフィックスカードはかなり最近の高スペックのもの、基本的にデスクトップPCが求められています。推奨スペックの最低限GTX780TiかGTX970ですから生半可ではありません。このスペックを市販のPCでまかなおうとすると(そもそもメーカーPCではほとんどありませんが)がっつりごっついゲーミングデスクトップPCになってしまいます。

でも、Oculus Riftでいろいろデモとか作っていくことを考えたらデモ環境をあちこち持ち歩くこともできたほうがいいような気もします。フルタワーでがっつり豪快にハイスペックPCを用意してしまうとそれはそれであとがつらい予感。

ないものはつくるしかない。

ので、「携帯可能かつハイスペック、Oculus Riftさまをお迎えできる夢のゲーミング・ポータブルPC」をつくってみることにしました。題して「週刊小型Oculusマシンをつくる」!

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前々から「Oculus向けの小型ゲーミングPCつくりたいなー」とは思いつつ、マウスコンピュータさんのLITTLEGEARも実物見ると結構ちいさいし、これでもいいかなあ…と逡巡していたときめぐりあったこのケース。持ち運び可能なゲーミングケース「CFI A0121BB Football」

工具箱風のデザイン、と呼ばれていますが、これが初代Oculus Rift DK1のキャリングケースを思い起こすこともあり「これでつくろう!!」と決めました。「ハイスペックなビデオカードが刺さったコンパクトなPC」をつくるだけならもっと小さいケースもありますし、そういう意味では「携帯可能」なPCケースの中ではかなり大柄なほうだとは思うのですが、だったら冷却をがっつりがんばって「たしかにコンパクトだけど発熱に弱い」というありがちな仕上がりではなく、「超高負荷状態でも余裕のスーパーハイスペック・コンパクト」を目指します。

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ドスパラの店員さんにもいろいろ検討していただきつつ最終的にそろえたパーツはこのとおり。「グラフィックカードは現在最高レベルのGTX980Tiをぶち込み、その上でCPUならびにGPUともに簡易水冷することでコンパクトケースでありながら長時間高負荷安定を実現する」

種別 品番 ドスパラ Amazon 購入価格(税込)
ケース CFI A0121BB Football (mini-ITX Case) Link   4980
CPU Intel Core i7 6700K BOX Link Link 48489
マザーボード ASRock Z170 Gaming-ITX/ac Link Link 23958
メモリ CSR CMK16GX4M2A2666C16 DDR4-2666 8GBx2 Link Link 12877
SSD ADATA ASP900NS38-128GM-C (SATA M.2 128GB) Link Link 7980
電源 玄人志向 KRPW-GT700W/90+(ATX 700W 80+G P) Link Link 13480
OS MS Windows10 HOME 日本語パッケージ版 Link Link 16189
CPUクーラー DEEPCOOL MAELSTROM120 Link Link 4980
ケースファン

AKA-KAZE(120mm,赤LED)

Link Link 970
グリス AINEX JP-DX1(ナノダイヤモンドグリス) Link Link 1600
ビデオカード GTX980Ti SEA HAWK Link Link 92664
HDD ST1000DM003 Link Link 6458
ねじ 防振ゴムつきねじPB-024R Link Link 302
      総計 234928

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いくつかパーツ選定のポイントを説明します。

「このケースを使う」という企画なので、ケースはA0121BB Football。対応マザーボードはmini-ITX。このケース自体には「2スロット・295mmまで」のビデオカードが刺さります。このケースには2.5inchドライブのホットスワップベイが2つついていますが、これは内部スペース確保のため取り外す前提です。
・CPUは6700K。BOXはリテールクーラーがついていませんが、使うケースを考えるとケース内のエアフローはさほど期待できず、CPUクーラーはもとより社外品を使う想定です。
・マザーボードはmini-ITXのゲーミングマザーボードを選びます。携帯して使うので無線LANが内蔵されていたほうがよい、ということでこの製品になりました。
・M.2接続のSSDをマザーボードにぶらさげてOSのブートドライブとします。M.2接続のSSDは対応したものを選べば超爆速になる(今回のマザーボードはこの接続に対応している)のですが、爆速ドライブはまだちょっとお高いので、ここはぐっと涙をのんで通常のSSDにします。予算に余裕があったら爆速SSDにしたいところ。
・電源は「高効率」だけでなく「なるべくコンパクト」(今回製品は奥行125mmとかなりショートサイズ)、「プラグイン仕様」(使用していない電源ケーブルを外しておける)、というコンパクト筐体に納めるためのスペース重視の選定。さらには今回ケースファンを3つつけますが、マザーボード上にはケースファン電源が2個しかないので電源ユニット自体にケースファン端子があるのも便利でした。
・今回光学ドライブはつけないのでOSはインストールメディアがUSBドライブで提供されるパッケージ版としました。
・CPUクーラーは簡易水冷のMAELSTROM 120。水冷ユニットのラジエターサイズが入るかどうかを一番気にしたのですが、ラジエターの厚さも含めてこの製品を選びました。
・ビデオカードも簡易水冷つきGTX980Ti SEA HAWK。というわけで、このケースの中に簡易水冷ユニットを2発詰め込むわけですね。
・ケースファンはケースに最初から必要なぶんはついているので特に別途購入する必要はないのですが、せっかくなので光らせます
・HDDの搭載位置はビデオカードの下になるのでうが、水冷ユニットはビデオカードの裏面までは冷やしません。というわけでビデオカードの熱が伝わらないよう、ビデオカード裏面からのクリアランスをなるべく確保できる薄型の3.5インチドライブを選びます。ST1000DM003は通常の3.5インチドライブと比較して厚さが3分の2ほどの薄型ドライブです。
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(薄型ドライブを装着した上でこの程度の空間になります)

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このケース、キャリングケース部分の内側にマザーボードなどを固定する金属製のフレームが入っており、実際にPCを組み上げる時にはフレームごと外して作業できるようになっています。

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裏側のネジ4本を外すとフレームごとすっぽりと抜けて…

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この状態で作業することができます。なので、コンパクトケースではあるのですが実は結構作業性は高いです。

このケースの、2.5インチドライブベイ部分は、水冷ユニットのラジエターに干渉するため最初から取り外しておきます。

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ケースファンも一回取り外してしまうとだいぶすっきり。

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ここに、配管やケーブルの取り回しに注意しながら組み込んでいきます。水冷のラジエーターは、GPUのもの(GTX980Ti SEA HAWKの水冷ユニット)をケース後方のケースファン部に、CPUのもの(MAELSTROM120)をケース天板のケースファン設置穴に据え付けました。それぞれ、ラジエーターとケースファンの前後順番を入れ替えておくといいとおもいます(ファンが見えるように設置)。

また、ファンの風向も注意して設置します。今回は、ケース前後から吸気してケース天板から排気するようなフローとしました。

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結果として、3DmarkのFire Strike Ultra (4k解像度ベンチマーク)をフルパワーでぶん回し続けても(デモのみループで数十分放置)CPU 48度、GPU 75度くらいで安定するようになりましたファンぶん回すと超高負荷時でもGPU 65度くらいで安定するようです。ファンスピードを低速にして静音運用にしてもGPU 85度くらい上限で安定するので、通常利用ならファン低速のままでも大丈夫そうです。

(※当初GPU 75度くらいで安定と記事に書いていましたが、そういえばMSI Afterburnerとかまったく入れてなかったのでこれファン標準設定のままじゃね?とファンためしにぶん回してみたら65度安定くらいに落ち着きました。うまくやれば60度くらいまで下げられるかな? [2016/01/19 01:20追記])

結果としてベンチマーク結果(Fire Strike Ultra)はこんなかんじ。

キャプチャ

CPUのオーバークロック余地もまだまだあり(現在まだ定格のまま)、冷却に余裕を残してこれですから携帯可能コンパクトケースにしてはがんばったとおもいたい。

そしてもちろん…

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You’re Ready for Oculus Rift !

実はマザーボードの内蔵無線LANに初期不良があり、いちどドスパラさんのサポートで故障診断と初期不良交換をしていただいたのですが、そのときにも(そして最初に部品を選定しているときにも)店員さんに「夢のある構成ですね…!」と言われたコンパクト・スーパー安定ハイスペックマシン。

なんかもうこのまま行くとこまで行ったれ…!と、モニタ・キーボード・マウスは

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モニタ On-Lap 1101H 11インチ フルHD モバイルモニタ
キーボード Majestouch MINILA Air 赤軸 Bluetoothキーボード
マウス LOGICOOL ワイヤレストラックボール M570t

をセットしまして、コンパクト・いつでもどこでもデスクトップ化。

On-Lapのモニタは本体からのUSB接続で電源が供給できるし、キーボードとマウスはワイヤレスで快適だしということでこれでカンペキ!自分なりの夢の環境が整いました。

ほかにも通称「岡持ちケース」を使ってコンパクトにまとめることもできますし、さらに超コンパクトなケースを狙っているかたもいるようです。せっかくのパワフルな新PC、みなさんも思い描く「ぼくのかんがえたさいきょうのOculus Riftマシン」をつくってみてはいかがでしょうか。

(…という記事を書くのに初めてMajestouch MINILA Airを実戦投入してみたわけですが、いままでずっとREALFORCE派だった自分にもなかなかの快適さ。無線キーボードとしてはかなりいいですねこれ)

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