2013/05/03 ■ 眼前に広がる究極の仮想空間!Oculus Riftが届いたよ! Xでつぶやくこのエントリーをブックマークに追加このエントリーを含むはてなブックマーク


GDCで話題を呼んでいる、ゲーム向けバーチャルリアリティHMD「Oculus Rift」が我が家にも届きました!
クラウドファンディングサービスKickstarterで出資したのが昨年の8月頭のことなので、出資から到着まで9ヶ月も待ったことになります。長かった…。
このblogを好んで読んでくださっているかたには周知のこととは思うのですが、私ヘッドマウントディスプレイとか没入型ゲーミング体験とか本当に大好きなもので(没入型ゲーミング体験…といえば、戦場の絆のPodも1個ばかりゲット…という話はまた後日)、当然こいつも首を長くして待っておりました。

というわけで、ひとまずこの「Oculus Rift」とは一体どういうものなのか?軽くファーストインプレッションを。


OculusVRからはこんな箱で届きました。Order StatusがProcessingのままなのに先に荷物が届いた(届いて数日後に発送メールが来た)という不意打ちでしたが、早く届いてくれるぶんには嬉しいのでOKOK!


箱を開けると、中には…


こんな立派なキャリングケースが!


ちゃんと持ち手もあるのでどこへ持って行くにも安心!実際HMDはだいたいどの製品もケーブル類など荷物がけっこう煩雑になるので、こういうしっかりしたケースがついてるのはありがたいですね。



ケースをあけると中身はこうなってます。Oculus Rift (ヘッドマウントディスプレイ)本体、コントロールボックス、ACアダプタ、USBケーブル、映像ケーブル(HDMIケーブル・DVIケーブル・HDMI-DVIアダプタ)、3種類のアイピース(接眼レンズ)がきれいにおさめられています。


本体を取り出して接続するとこのようになります。
HMD本体とコントロールボックスの間は専用ケーブルで繋がれていて、コントロールボックスに映像(HDMIかDVI)、センサーデータ用のUSB、電源(ACアダプタ)を接続。
センサデータのUSBはHIDデバイスとして認識するようでドライバ不要、映像も普通のモニタとして認識するので特別なドライバは不要です。さきほどのキャリングケースでどこへでも持っていけるので、出先のPCでさっと使えるのはいいですね。(※ただし後述しますが対応の専用アプリでないと使用できず通常の動画を視聴したりといった用途には使えません)



接眼部はこんなかんじ。Oculus RiftはわりとHMDとしてはゴツい部類に入ると思いますが、重さはさほどでもなく頭をささえるベルトがほどよくフィットして装着に不安感はありません。ただしゲームで長時間燃えて遊んでるとちょっと蒸れそうな予感はします。
接眼部と頭の距離は左右の調整ダイヤルで調整可能で、また接眼部のレンズも度入り含めて3種類あるためシンプルな構造のわりにはどのような人にも対応できるのではないかと思います。接眼部の距離を調整することで眼鏡を装着しながらの着用も可ですが、レンズにあたって傷がつく可能性があるため接眼部の度入りレンズで対応するかコンタクトレンズ推奨です。


いままで「すぐれたHMD」の設計は、「超小型超高精細の液晶パネルを使い、その精細な映像を人の目にあますところなく伝えるために高価で精密な光学系を使う」というものでした。そのため普通に映像を入力するだけで眼前に美しい映像が楽しめる一方、主に光学系のコストがネックになりあまり安価にはならなかった(または、安価なHMDは質が悪かった)のです。

Oculus Riftは、そこを「映像を視聴するのではなく、ゲーム専用」と完全に割り切った設計になっているのが新しい製品です。

  • 超小型高精細な液晶パネルではなく、量産で安くなったスマートフォン(ないしタブレット)のでかい液晶パネルをそのまま使い
  • 精密な光学系など使わず、「液晶パネルに虫眼鏡2つつけてのぞき込む」くらいのシンプルな構造にしてしまい
  • 安価な光学系を使っているため当然、レンズで映像が歪むわボケるわするが、そこは「歪むぶんをあらかじめPCで補正した映像を作ればいい」と割り切り
  • つまり画質や汎用性なんてものはすべて捨て去ったかわりに、ゲーム向けの「広い視野角」に特化
という逆転の発想。Oculus Riftには、上記の写真のような「レンズの歪みぶんをあらかじめ織り込んで、両眼ぶんの映像をきちんと位置あわせして1画面におさめた」映像をPCで作って入力してやることではじめてまともに視聴可能になります。Oculus Rift自体は単純にPCからは外部モニターとして認識するし、Windowsデスクトップなども表示はされるのですが「ただのモニタ」としては使えない理由がここにあります。正直この割り切りはとても頭いいなーと思います。




そして先述の映像をOculus Riftで表示し、接眼部からのぞき込むとこのように見えます。
入力した映像では歪んでいた線が、レンズを通して見るとまっすぐ見えているのがわかりますでしょうか。
同時に、画面の解像度がたいしたことがない(ピクセルが見える)ことと、周辺がボケてみえたりもしていることがわかるかと思います。そう、そういう意味でのHMDの「質」としてはほんとそれなりなんですよ。


しかし、これを実際に体験すると…!

やはりゲーム×HMDでは圧倒的な視野角は正義です。広視野角の視界と、頭の向きにあわせて連動する映像の前には解像度や周辺ぼけなど些細な問題にすぎないことを実感します。
Oculus Riftのスペックではなんと視野角対角110度です。ソニーのHMZ-T2で45度(これも相当広いほうなんですが)、従来の業務用HMDで同等の視野角を得られる製品だと500万円以上することを考えると、この体験ができるデバイスが$300とかマジ破格。





とツイートもしましたが、ほんとなかなかいいかんじに「そこにいる感」が得られます。
しかし、その一方これでFPS的ゲームを遊ぶとわりと瞬時に酔ったりもするので、相性の良いゲームをデザインから考える必要があるかもしれません。なにはともあれ、しばらくこのデバイスはアツくなりそうです。

あと、頭の角度には追従するけど頭の移動には対応しないので、外部センサを組み合わせて完全なヘッドトラックもためしてみたいなー。