ニコニコ動画に「車載動画」というジャンルがあるように、ニコニコ生放送にも「車載生放送」というジャンルがあります。ところが、同じ「車載」をやるにしても「動画」なのか「生放送」なのかでセッティングに大きな違いが出るポイントがあります。そう、他でもない、コメントの処理です。
ニコニコ生放送というサービスは視聴者のコメントがリアルタイムにフィードバックされる点が大きな特徴となります。他のライブストリーミングサービスでももちろん視聴者がコメント・チャットすることができますが、ニコニコ生放送はストリーミングを視聴するという行動の中で「コメント」の比重がサービス的にも視聴者の意識的にも非常に大きくバランスされているのです。
つまり、この「(視聴者の、リアルタイムの)コメント」をきちんと捌かないことにはニコニコ生放送という枠組みを使う意味が無い。しかし、放送している本人は車を運転しているわけで、通常の配信体制ではなかなか「安全に、リアルタイムにコメントを読む」ことが難しい。車載生放送を実現する時のひとつのハードルがここにあるわけです。
従来の車載生放送主は、「コメントを音声で読み上げさせる」ことでこの問題を解決しているケースが多いようです。通称「ゆっくり」と呼ばれる手法で、SofTalk(通称ゆっくりボイス)という音声読み上げアプリケーションに生放送のコメントデータを渡し、スピーカーで読み上げさせるというものです。これなら、画面を注視しなくともコメントを拾うことができます。
が、この手法では大量のコメント(読み上げ速度を超える流量のコメント)に対応できない、音声の聞き取りが苦手な人(=私です)には厳しい、読み上げ音声で「遊ぶ」人が出てきて(読み上げられる音声が放送を経由して視聴者にもフィードバックされるので、視聴者が放送越しに遊べる)番組の方向がそちらへ固定されがち(これはこれですごく面白いのでそういう方向へ特化していくのもアリなのですが)、などの問題があります。
安全に、カーナビの地図や各種メーターを見るのと同じ・ないしはそれ以下の視覚的コストで、コメントを「読む」ことができないだろうか。
というわけで、車のフロントガラスに半透過でコメントを表示するヘッドアップディスプレイを作ってみました。
仕掛けは実に簡単で、液晶ディスプレイに黒地・単色緑文字・フルスクリーン・左右反転の状態でコメントを表示し、その液晶ディスプレイをダッシュボードに置いて窓ガラスに反射させているだけです。なので、夜専用。昼間は外が明るすぎて反射が全然読めません…。
が、夜であれば非常によく見えます。外の景色も写真以上に良く見えますし視界にも全く邪魔になりません。コメントも一瞬、一瞥で判読可能です。(そのかわり長い文章は途中で切れてしまいますが)
読み上げさせるのを聞きとるのか、こういう形で一瞥するのかどちらが「安全」か、というのはいろいろと議論があるとは思うのですが(言葉の聞き取りが苦手で、かつ時々ピンポイントでコメントを「拾う」放送スタイルの私の場合この形式のほうが意識コストが圧倒的に小さいのですが、これは人によると思います)こういうやりかたもありますよ、というご紹介でした。
というか、やっぱり「半透過ヘッドアップディスプレイ」ってのが単純に男の夢だよね、って話です(笑)
なお、使用ツールはSimpleLive。Version 0.03から「フルスクリーンコメント表示モード」として、このような運用が可能な機能を付加してあります。