2008/12/17 ■ UP300xモニター終了まであと2日 Xでつぶやくこのエントリーをブックマークに追加このエントリーを含むはてなブックマーク


何度も書いているように、発売直前の評価機をお借りする機会に恵まれまして、毎日ひたすら使い倒しています。その評価期間もあと2日。12月18日にはモニターを終了してお返しする約束です。
まぁ、その次の日には注文済のUP300xが発送され、入れ替わるように手元に届く予定ではあるのですが。
現在UP300xで視聴した映画など、累計の視聴時間は25時間。(内訳:洋画10本 邦画1本 アニメDVD3本)土日はほとんど使ってないことを考えると結構使ってるほうですかね。以前に書いたとおり、移動時間がともかく有効に使えています。
で、ここまで使ってきたところで、モニター期間も終わりに近いのでひとまず現状で私の感想をまとめてみることにします。

今までのレビューは
発売直前モニター機レビュー , blog記事1 , blog記事2
をごらんください。

【HMDをつけて生活する、ということについて】
  • この手のものを日常的に装着して生活することについては、「照れたら負け」と言えると思います。さもそれがあたりまえのことだと開き直って堂々としていればいいんです。実際、あたりまえのことなんですから(笑)
  • 意外とみんな他人のことなんてそんな気にしてません。
  • そういった意識の問題については、日経BP Tech-On!のこの記事が興味深いです。(※要無料登録)
  • ただ、そういった「照れ」の分を差し引いたとしても、MEDIA PORT UP300/UP300xは「一瞬でヘッドホンに変化する」「必要の無い時には首にかけておける」など、「日常生活とHMDの折り合い」のバランスデザインに優れていると感じます。
  • 目への負担ですが、連続2時間視聴した後はさすがに若干の目の疲れ(左右の目のピントが合いにくい感触)がありました。外して1分ほどで回復しましたが。それ以下の視聴では今のところ目の疲れを感じたことはありません。
【MEDIA PORT UPが提供する「楽しさ」、そして「価値」】
  • UPが提案し、そして提供しているのは「隙間時間を有効に活用するための手段」です。隙間の時間が発生した時にただちに視界の片隅にいつでも参照できる暇つぶし情報(=動画)をパッシブに流すことができる、ということがUPの価値なのであって、言い換えれば「隙間時間が発生次第すぐにUPを利用することができる」、つまり、UPを常に身に着けておくくらいの覚悟が無いと価値が生まれないということでもあります。
  • UPを見て、ないし試用して、「これはいい」と思えるか「これはダメだ」と判断するかの境目は、その覚悟があるかないかです。もう、これは、完全に、その一点に尽きます。
  • もう少し噛み砕いて言いますと、UPをつけて外を平気で歩ける人にとってはこれは本当に最高の暇つぶしデバイスですが、「恥ずかしいから家の中で使う」という人にとっては「ここがああだったら、あそこがこうだったら」なんていくら理屈をつけてもUPは煮ても焼いても食えません(笑)最初から外でつけて歩く気が無いんだからどんな機能がついても無駄っていうか。
  • 「携帯電話やPSPなどで動画を再生するのと何が違うのか」。両手がフリーであるということのほかに、ヘッドホンのケーブルからも開放されるというメリットもあります。それぞれ非常に細かいこと(別に携帯持って見ればいいじゃん、という)のように思えますが、両手フリーである開放感はたいへん心地よいものです。些細なことのようでいて、意外と差が大きい。そこにUPの価値があります。(使い込んでいかないとなかなか良さがわからないところではありますが…)
  • コンテンツの不足や多少の問題はユーザ側の工夫でいくらでもカバーできますので何の問題にもなりません。とにもかくにも、「覚悟があるかどうか」。なんだこの意味不明なガジェットは、という人も覚悟の一線さえエイヤっと越えてしまえば本当に楽しい夢の未来が待っているんですが(笑)。いやほんと。
  • 「ヘッドホン・ディスプレイ・プレイヤー一体型」「片眼HMD」といった主要素をはじめ、リトラクタブルメカや全ファイルへのレジューム再生(再生位置記憶)など、UPの設計はすべてその「覚悟を決めた人」にとって使いやすいように出来ていますね。
【MEDIA PORT UPの優れているところ】
  • とにもかくにも一体型。これは本当に良いです。下手にポータブルプレイヤー+ヘッドホンで音楽聞くよりも楽だったりします。コードが生えてないって素晴らしい
  • バッテリーは意外と(本当に意外に!)好感触でした。単三エネループ2本での駆動で、連続駆動時間は若干足りない感じはしますが(動画再生2時間程度)自宅と会社にエネループの充電器を置いて、到着次第取り出して充電器に突っ込む…という作業は予想していたよりは面倒ではなかったですね。替えのバッテリーも非常に安価で他と使いまわしが効くのも有難いです。あと、バッテリーを抜いても最後に再生した動画・再生していた地点を記憶しているのも気軽にバッテリーを引っこ抜ける細かい配慮だと思います。
  • 動画の再生品質もかなりのもの。DVDからエンコードした洋画の字幕はくっきりはっきり読めます。
  • …と、書いていることと若干矛盾しますが、動画の再生に特化した作りであるということもなかなかツボをついています。はっきり言って、歩きながら(※メーカーでは徒歩中のUPの使用は以下略)ではHMDに表示されている字なんか読めないんですよ。Webブラウザなどもついてますが、やはり動画の視聴というのはコンセプトに合致した「暇つぶし手段」ですし、そこに特化したのは使いやすさに貢献していると思えます。
  • 意外と目立たないデザイン。外装の高級感ある質感の仕上げといい、単体の写真で見るよりも実物はゴツくなく、装着していると違和感無く風景に溶け込む感じがします。モニタのアーム逆サイドから見たらほんと普通のヘッドホンしているのと変わらないです。
【MEDIA PORT UPのいまいちなところ】
  • 対応しているコーデックの狭さ。まとめて変換してじゃんじゃか突っ込んでますが、MPEG1/MPEG2はともかくとして(でも圧縮効率低いからあんまり使いたくない)残るはWMV9のみというのは少々痛い。変換に使えるツールが非常に限られてしまいます。
  • 無変換でいろいろな動画をそのまま突っ込めるのが理想ではありますが、(それはかなり実装が大変なので)事前にデバイス向けに再エンコードすることまでは個人的に許容します。が、そのエンコードに使えるツールの選択肢が少ないのは残念です。
  • モニタのアーム稼動域はもうほんの少しほしかった。眼鏡をつけている時など「う、あともうちょっと動けば…」ということが若干あります。
  • モニタのアーム保持力がちょっと弱い。徒歩くらいならいいですが、走るとモニタがずり落ちてきます。(これは製品版では変更されているかもしれません)
  • 起動時間もうちょっと早いと嬉しい。コールドスタート(電池投入直後)とホットスタート(電源OFFした直後の復帰)とありますが、コールドスタート時は結構待たされる感じです。
【総合的な印象】
  • これをつけて外に出られるなら、細かい不満点はあれどすごく楽しいと思うので買ってok(ただしコンテンツは自前で用意しましょう)
  • これをつけて外に出る勇気が無いなら、買っちゃ駄目
  • でも、外に出る勇気を持ってみるのもいいと思うよ!ちょっとの勇気ですごく楽しいよ!
…そのまんまですね('A`)


それと、前回「DVDからUP用のWMV9ファイルを作る手順」としてPocket DVD Studioを紹介しましたが、このPocket DVD Studioで「Audioを80kbpsに設定しないとUPで再生できない」という現象の原因がわかりました。これは完全にPocket DVD Studioのバグで、「Audioのビットレートが128kbps以上に設定されていると、動画フォーマットの設定でWMV9を選択していてもなぜかWMV8で出力されてしまう」のが原因でした。なんじゃそりゃ!(笑)
というわけで、UP側は何も悪くないというか、WMV9-Audio 48kHzのデータもちゃんとUPで再生できることを(Windows Media Encoderでデータを生成して)確認しました。
ほかにも音声が変になってしまう現象があいかわらず(30fpsでエンコードしても)DVDによっては出現したりなど、Pocket DVD Studioも完璧ではなかったことがわかってきました。うーん…。(DVD Catalystが字幕のリサイズやデコードもうちょっとちゃんとしてくれればいいんですけどね…)