2022/03/27 ■ お小遣いで自分だけの秘密基地をつくろう:土地を手に入れる篇② Xでつぶやくこのエントリーをブックマークに追加このエントリーを含むはてなブックマーク

お小遣いで自分だけの秘密基地をつくろう!
第二回は「土地を実際に手に入れ登記をしてみる篇」です!

自宅から手頃な距離に土地をゲットして、滞在できる秘密基地をつくろう!と心に決めて、ちょうどよい土地を探すところから始めました。私は結局「みんなの0円物件」さんでマッチングいただき土地を(0円で!)譲っていただいたので、今回はそのとき自分は何を考えどう行動したか、実際に譲っていただくときの手続きはどうしたか、といった流れを説明していきます。


最新情報

blog記事にまとめる前のリアルタイムの進捗はTwitter「#秘密基地をつくろう」に垂れ流しています。


「みんなの0円物件」に物件が掲載→即現地確認へ

前回記事に書いた通り、いろいろ考えていくと条件に合うのは千葉(房総)あたりだよなあ、単なる山林だと自分で整地したりしなきゃいけないし、放棄分譲地(限界分譲地)で近隣に民家がなく隠れ家感ある土地とかでいいとこないだろうか…と日々情報を眺めていました(そう、こういう需要です
と、ある日Twitterを眺めていたら…「みんなの0円物件」のドンズバストライクゾーンの更新情報が流れてきたのでした。うお!これはまさに、自分の求めていた条件の土地そのままじゃないか!?

そう思った次の瞬間車に乗って房総に向かっていました。まずは現地確認してみないことには始まりません。
で、なるほど実際に現地を見てみると「0円」物件となるのもちょっと納得。一般的な宅地としてはマイナス要素がいっぱいありました。Googleマップではわからない、現地に行かないと見えない情報が山ほどあるので、現地は必ず確認しましょう。あとこのとき近所の人と話ができるといいですね。私の場合は敷地入口のところにある事務所の人とお話できてだいぶいろいろクリアになりました。

<確認したポイント>
  • 土地は自分の条件に合うか?
  • インフラ(電気・ガス・水道・下水道)は?
  • 周辺の環境は?
    • 買い物は?ホームセンターは近くにある?
  • 現地に行くまでの道路は?
    • 土地自体の接道はもちろん、そこに行くまでの道も確認。4トントラックは通れそう?路面の管理状況は問題ない?
  • 路面の管理が悪そうならその道路がどこの管理なのか(公道なのか私道なのか)を確認したい
  • 騒音は?
  • 土地の整備状況は?残置物は?
  • 周囲との境界は?
    • 境界杭などで隣地との境界がハッキリしているか?
今回の土地は、インフラの面(特に電気)は問題なく、周囲の目から隔絶された木々に囲まれた秘密基地用の土地、という視点では理想的に見えました。いっぽう、建築が可能という意味での接道は問題ないものの4トントラックの入れる道幅ではなく、中古の小屋をそのまま4トン+ユニックで持ち込み、という選択肢が取れずあとあとちょっと悩まされることになります。
また、お手軽秘密基地活動には近隣にホームセンターや100円ショップなどの施設があるのはかなり大事です。ホームセンターとの往復に時間がかかると作業効率が極端に落ちます!
今回の土地はきちんと分譲地として整地され、定期的な草刈りもされ土地の状態はよかったのですが、隣地からものすごい勢いで木の枝が越境していたり、敷地内に倒木(おそらく台風時に敷地内にあった木が倒れたもの)が残されていたりなど多少の整備は必要な状態でした。このあたりのコスト(費用・工数)感も確認しておきます。


役所と法務局でバックグラウンド情報を確認する

と、現地を見て回ったところ、これはいいのではないか!?となったので、次にバックグラウンド情報を役所へ確認しに行きました。
向かうのは、町役場の建築課と担当の法務局です。役場では「その土地にかかる建築規制」の情報が、法務局では登記の情報が調べられます。登記情報はオンラインでも確認できますが、周辺の地番などを教えてもらうためにも法務局に行っておくのは悪くありません。
  • 建築にかかわる規制情報は役所で確認できる
    • その土地は建築基準法上の道路に接道しているか
    • 用途地域指定は何になっているか
    • 防火区域などの指定がされているか
  • 土地の所有者は法務局か登記情報提供サービスで確認できる
  • 地番がわからない場合は法務局で教えてもらえる
今回の土地は「建築基準法上の道路に接道している」ため建築可能、非線引き都市計画区域であるため新築時には建築確認申請が必要、法22条23条適用区域のため屋根を不燃材にすることが必要、第一種中高層住居専用地域(容積率200%、建ぺい率60%)といったところでした。小屋を建てることを想定していたのでこのあたりの確認をきちんとしましたが、最終的にはテントで秘密基地をつくることにしたため建築関係の規制はあまり関わらなかったです。

また、登記の情報も見ておきます。私の場合、該当の土地に入っていく道路の権利はどうなっているか、周囲の土地はどうなっているか、などを確認しました。土地に接道している道路は私道で、該当分譲地の所有者たちによる共同持ち分、その私道に繋がる道路は公道(所有者が国)でした。私道の権利が細分化していて再整備時など権利の整理をするのは難しそうだがいきなり使えなくなるとかはなさそう、ということでよしとします。


「みんなの0円物件」に申し込む

特に問題はなさそう、自分の条件に合うし、土地も活用できそう。倒木の処理など課題はいくつかあるがクリアできそう、いいのでは、ということでこの土地の譲り受けができないか申し込むことにしました。「0円物件」といいながらも手続きには費用がかかりますし、不動産を取得するというのはそれなりに責任を抱えることになるわけなので、そこはきちんと踏まえておきます。「物件がほしい方へ【事前にお読みください】」のページはしっかり読み込みましょう。
その上で、応募する文章をしっかり考えます
  • 「みんなの0円物件」はあくまでもマッチングサービスであり、申し込む先には土地を譲渡したい「人」がいる
  • 譲渡したい人の気持ちになって考える。得体の知れない人に土地をあげる!という前代未聞の体験をすることになる、めんどくさい、トラブルになりたくない、不安、きっとそんな気持ちになっているはず
  • その上で相手の不安を解消する申込みを心がける。自分の場合は次のようなことを書きました
    • 「タダだから」安易に飛びついているわけではなく、まさにこの物件が自分が探していた条件であること
    • 現地を確認し、マイナス要素もきちんと把握していること(こんなはずじゃなかった、というちゃぶ台返しの心配がないこと)
    • 掘り下げた情報も問題ないことを確認していること
    • マイナス要素の解消も自力で行い先方の負担をかけないようにすること
不動産は取得するのも維持するのもコストがかかり、一定の責任を追います。私は「郊外の土地いますごく安いのでみんなもっと気楽に不動産で遊べばいいのに」と思っています(し、そのためにこのblog記事を書いています)が、不動産を維持できなくなった時の出口戦略は事前に考えておいたほうがよいです。自分はあまり公言していませんが、いくつかのシナリオを想定して「どうしても維持できなくなってもおそらくこの手段/方法なら手放せるだろうし、そうでなくとも最悪固定資産税は飲める範囲である」ということを確認した上で申し込んでいます。このあたり、固定資産税のほか管理費の出費が必要になるマンションや別荘地内の土地などは要注意です。


自分で登記にチャレンジ

というわけで譲渡希望の申込みをしたところ、幸いなことに自分が候補者として選ばれた(やった!)ので土地の譲り受けの準備を進めます。せっかくなので、登記手続きも自分でやってみることにします。
ここでのポイントは、「不動産を譲り受けるには登記が必要」「登記手続は一般的には司法書士に依頼するが、がんばれば自分でもできる」ということ。自分の土地をゲットして自分だけの秘密基地をつくる、という一連の体験そのものを楽しむため、もちろん登記も自分で(おもしろそうだから)やってみるのです。
そして「みんなの0円物件」は仲介ではなくマッチングサイトですので、司法書士に依頼しないのであれば手続きまわりを全て自分でやる必要がありました。言ってみればこれも非日常、調べながら書類を用意していくのもなかなか面白いものです。
  • 今回土地を譲り受けるにあたって行った手続きは
    • 不動産贈与契約(贈与契約書を贈与者と私の二者間で交わす)
    • 固定資産評価証明書の取得(贈与者の委任が必要、現地の役所で行う)
    • 登記名義人住所・氏名変更登記
      • 所有権移転登記の際には非常に厳格な本人確認が行われる。そのため所有者の登記上の住所が現住所と異なる場合は最初に住所移転登記が必要
    • 所有権移転登記
  • (抵当権なども抹消されているきれいな状態の登記の場合はこうでしたが、手続きが複雑な場合はさすがに個人では手に負えないかもしれません)
  • 登記の手続きは結局の所ググっていろいろなサイトを読みまくるのがいいです。本もあります
  • 法務局で相談を受けてくれるが結局のところ通り一遍のことを教えてくれるだけであまり役に立たなかった
  • 各書面には必ず捨印を入れましょう(理由は後述)
まず不動産贈与契約。契約書を用意して二者間で行います。「不動産贈与契約」で検索すると参考例がいろいろ出てきます。今回は既に用意されたひな形をベースに契約を行いました。契約書を2通用意し2通ともに署名捺印、1通は先方保管、1通は自分で保管することになります。このあたりは一般的な契約書のとおり従っておけば問題ありません。不動産の贈与契約書には1通あたり200円の収入印紙が必要です。
そして次にやりたいのが所有権移転登記。なのですが、所有権移転登記をするためには厳格な本人確認が必要で、所有者の登記上の住所が所有者の現住所と一致している必要があります。なので、先に登記上の住所を変更する必要があり、そのための手続きが登記名義人住所・氏名変更登記となります。
また、所有権移転登記のために固定資産評価証明書が必要なのですが、これは個人への課税についての書面になるため、課税されている本人が取得する必要があります。こちらも先方に手間をかけさせないために自分で取りに行くわけですが、そのための委任状が必要です。

というわけで、最終的に自分で書面をつくり、先方に署名捺印などしていただいたのは
  • 委任状(登記名義人住所氏名変更登記)
  • 委任状(所有権移転登記)
  • 委任状(固定資産評価証明書の取得)
  • 贈与契約書(自分のぶん記入済み)2通、署名捺印いただいて1通を返送いただく
という構成になりました。これに加えて
  • 登記申請書(所有権登記名義人住所変更)
  • 登記申請書(所有権移転)
を作成し自分の住民票など必要書類を揃えて法務局へ!


一発登記完了…ならず!

と、なんとか調べて登記の申請をした…のですが、2週間ほどしたら法務局から電話がかかってきました。
「書類に不備がありこのままでは受領できません」
委任状の書式はググってさまざまなサイトに掲載されているものを参考にしつつ改変して作ったのですが、そのため契約書と委任状に用語の齟齬を起こしてしまうミスがあり、出した委任状が有効にならない、ということが判明したのでした。より具体的には契約書が「贈与契約書」という書面であるにもかかわらず、委任状に記載された「登記の原因」が「譲渡」となっており、「贈与」と「譲渡」で原因が噛み合わないため受け付けられないとのことでした。
いやーーーーーー、それくらい汲み取ってよ!!!と思わなくもないのですが、不動産登記というのはそれくらい厳格に見るということで勉強になりました。そしてこのとき言われたのが「これくらいの齟齬であれば、書面に捨印が押してあればこちらで職権訂正することもできるのですが、捨印が無かったので出し直していただかないと手続きできないのです」という衝撃の事実。
「捨印を押すというのは後から書面を訂正させる自由を与えることであり、非常に怖いものである」みたいな話を以前読んだことがあったのですが、なるほど捨印というのはこういうときに機能するんだなというのを実感しました。結局どうにもならないのでもう一度正しい委任状を作り直して、捺印しなおしをお願いしたのでした。
  • 特に素人仕事の場合は各書面には必ず捨印を入れてもらおう
  • 委任状も一言一句チェックされるのできちんとしよう


登記完了!

というわけで、紆余曲折の上自分で登記を完了し、ついに秘密基地用の土地が「自分の土地」になりました。かかった期間は約1ヶ月。手続きを自分でやったため、かかったコストは最も大きなものが不動産取得税(後日納税通知書がくる)、所有権移転のための登録免許税といったところでした。(2022/6/1更新:不動産取得税の納税額が確定しました)
<まとめ>
  • 自分で登記はできなくはない
  • ただし本人確認など司法書士に任せるとショートカットできる
  • 登記にかかった期間は約1ヶ月、かかったコストは全部で約6.5万円約4.2万円(2022/6/1更新:不動産取得税が想定より安かったので修正)
  • 0円物件など低コストチャレンジみたいな状況なら自分で手続きをやってみるのもけっこう面白い
    • ただし先方に迷惑にならないように、先方の気持ちになって面倒のないように進めよう
次回:土地を整備する篇 チェーンソー振り回し土地を整える(予定)