2011/05/11 ■ 家族持ちのスナップ写真に!魚眼レンズは意外と万能!? Xでつぶやくこのエントリーをブックマークに追加このエントリーを含むはてなブックマーク

“魚眼レンズ”と聞いてどんな用途を想像しますか?「一風変わった写真が撮れる、けどあくまでも特殊なレンズなのでたまにしか使えない、使いどころの難しいレンズ」。そんなイメージですよね。私も実際に買うまではそう思っていました
しかしひとくちに魚眼レンズといっても、円周魚眼(全周魚眼)レンズと対角線魚眼レンズがありまして…そのうち対角線魚眼レンズは思いのほか、ほんとに自分でもびっくりするくらい普段使いでも使えるのです。「作品を撮る」ような使い方ではなく、家族とお出かけした時のスナップ撮影に活躍するんですよ!


まずはおさらい。「魚眼レンズ」と呼ばれるのは「カメラなどに使用する写真レンズで、中心射影方式でない射影方式を採用しているもの」(Wikipedia)。要は写真にした時に全体的に丸く歪んでいるように写るレンズのことですね。その特性上、だいたいは180度程度の画角をもつものが多いです。つまりカメラのレンズの真横まで写る!ということ。

Photo by Josef F. Stuefer (CC)
そのうち「円周(全周)魚眼レンズ」は写真の画面の中に丸く窓状に風景が写るものです。これはさすがに本当に特殊レンズなので、特殊な効果を狙う場合か後の画像処理を前提にパノラマ撮影を行う場合によく使います。

今回テーマにしたいのは「対角線魚眼レンズ」。写真全体に広い画角で風景が写るタイプのもの。具体的にはソニー NEX用フィッシュアイコンバータ VCL-ECF1を使っての雑感です。
このタイプの魚眼レンズだとたしかに映像は丸く歪むもののそれほど不快な感じはせず、それよりも「広い範囲、特に左右180度が一度に撮影できる」メリットのほうが目立ってくるなあという印象を受けました。

というか、今回このレンズを使ってつくづく実感したのが「人間の眼の左右方向の視野は180度以上ある」というあたりまえの現実です。人間の眼は左右にわかれてついており、それぞれ顔の外側に視野が広がっています。つまり両目を同時に使うことで左右180度以上にわたって一度に知覚することができるのです(周辺視野の能力については個人差がありますが)。
よく「人間の視野はレンズにすると35mm換算で50mm程度。このあたりのレンズがもっとも人間の眼で見た風景に近い」というようなことが一般的に言われていますし、それも事実だとは思います。が、魚眼レンズを使い始めると「人間の眼で見た風景」と「人間が感じた風景」は違うんだということを実感します。そう、左右180度の画角を持つ魚眼レンズで撮った写真は「写真の見た目こそ人間の眼と違い歪んで見える」けれども「写真に納まっている情報量は人間が感じた風景そのものに近い」のです。写真が丸く歪むので“作品”的な美しい写真を撮るのにはかなりの技術が要りそうですが、家族で遊びに行った公園の風景をスナップするとびっくりするくらいその場の雰囲気を残した写真が撮れる!…というのが発見でした。

20年後30年後に旅行のスナップ写真や子供の写真を見返すことを考えると、本当にリアルタイムで撮っておきたいのは「作品のように美しい子供の姿」ではなく「どんなところへ行ってどんなことを楽しんだかを思い出せる、その場の空気感を切り取った写真」です。

「空気感を切り取る」という面では3Dカメラもかなりいい線行っているのですが、3D写真(ステレオ写真)はやはり「見る」ための手段にひと手間かかるのもまた事実。ぱっと取り出してぱっとスナップするだけで一枚の写真として「空気」を切り取れる対角線魚眼レンズはかなり便利なんじゃないかということを痛感したのでした。

さらに言えば「魚眼レンズ」×「HD動画撮影」×「三脚による定点固定カメラ」という組み合わせもかなりイケています。動画撮影時はカメラによっては若干画角が狭くなったりもしますが、HD動画の画面が横長の16:9であることも相まってこの組み合わせはかなり相性がいいです。HDの画質があれば全景を撮ってるだけでも充分に細部がわかり楽しめますし→広い画角なのでカメラを追う必要もなく→カメラを動かす(追う)必要もないのでコンパクト三脚の剛性でも充分で→そしてコンパクト三脚がとても手軽に展開できるのでサッと取り出してすぐ「空気」を撮れる。なにそれまさにこの用途のためにあるの!?というくらい本当におすすめです。(これらの動画はすべてNEX-5+フィッシュアイコンバータ+コンパクト三脚Velbon CUBEの組み合わせで撮ってます)

以前はNEX-5で一番万能な18mm-55mmズームレンズ(SEL1855)を中心に携帯していたのですが、魚眼レンズの万能性を実感してからはパンケーキ(SEL16F28)+フィッシュアイコンバータ(VCL-ECF1)の組み合わせ、単体モノ撮り用の50mm単焦点(SAL50F18)の2本だけしか持ち歩かなくなりました。そして18mm-55mmに相当する「ふつうの写真」用には別にFinePix REAL 3D W1を1台。NEXで魚眼以外の写真を撮りたい時はフィッシュアイコンバータを外すだけでSEL16F28が使えるのも便利。
これでモノ撮りの時以外はどんな写真でも手軽に「空気感」を残す写真にできるんじゃないかなあと考えています。なおこのケースはエツミ クッションボックスフレキシブル Sです。

ちなみにNEX用のフィッシュアイコンバータは実売1万2~3000円くらいレンズとしては格安です。パンケーキレンズに装着する形のアダプターですが、一度装着すると一体感のあるデザインに収まりまるでひとつの専用レンズのようになります。周辺画質はそれなりではありますが、説明したとおりじっくりすみずみまで美しさを望むものではなくあくまでも雰囲気・その場の空気を切り取るためのレンズ。NEXを持っていてパンケーキレンズあんまり使ってないなあ…という人は買ってまず損はないと思います。はい。


…って作例見ていまいちピンとこないな、という人向けに最後にちょっといいわけしておくと、挙げた写真以外にもすごいよく(記事のテーマにしている)「空気感」が切り取れている写真がいっぱいあるんです。が、本当に生活感剥き出しで切り取られた家族のスナップばかりなのでとってもblogには掲載しにくいという…。ご理解ください(笑)