2021/12/31 ■ お小遣いで自分だけの秘密基地をつくろう:土地を手に入れる篇① Xでつぶやくこのエントリーをブックマークに追加このエントリーを含むはてなブックマーク

(写真:今回私が秘密基地用に取得した土地。0円)
秘密基地、欲しくありませんか?

リモートワークが完全に常態化し、私もずっと家で仕事する日々が続いています。しかし困ったことに自宅はかなり狭く、家族もいるなかで家で仕事していると本当に場所がないのです。とほほ。
広いところに引っ越すというのも一つの手ではあるのですが、狭いという点以外はいまの自宅はあらゆるところが気に入っており、動きたくないという気持ちも大きかったりします。そんななか子供たちも大きくなってきて、ぼちぼちパパが家を空けていてもちょっとくらいはいいのでは…?みたいな気持ちになってきましてですね…「そうだ、自宅の外に(リモートワークもできる拠点としての)“秘密基地”をつくろう!」なーんてことを考えてしまったのでした。

題して、シリーズ「お小遣いで自分だけの秘密基地をつくろう」
今回0円で千葉の秘密基地用の土地を取得するに至ったので、まずその過程からまとめていきます。


最初にまとめ:今回紹介していくもの



最新情報

blog記事にまとめる前のリアルタイムの進捗はTwitter「#秘密基地をつくろう」に垂れ流しています。


「秘密基地」のコンセプト検討

つくりたい秘密基地のイメージをかんがえる

いきなりですが、オススメはKindle Unlimited読み放題です。もとからそういう世界に親しみがあるかたは別として、いきなり唐突に「秘密基地だ!」とか考え始めてしまった自分のような新参者には、まずは事例と手段のインプットが必要です。
Kindle Unlimitedでは、DIY雑誌「ドゥーパ!」のバックナンバーなども読み放題になっていますし、「小屋づくり」本も大量にあります。ざっと眺めてみるだけでもだいぶ空気感とか予算感みたいなイメージがつかめてくると思います。ひとつひとつを買うまでもなくとも、読み放題で拾い読みしまくれるのは本当にオススメです。

秘密基地の要件をかんがえる

まずは自分のための「秘密基地」にどんな条件が必要か、要件をかんがえます。自分の場合はこんな感じでした。
  • 自宅から片道1時間程度で行ける範囲(あまり遠いと絶対行くのが面倒になる)
  • 自分一人が使えればよい(家族で泊まれる別荘とか考え始めるとコストがかかりすぎる)
  • 寝て、起きて、仕事ができて、のんびりできる最低限の拠点
  • 開けた平地ではなく、木々に囲まれた自然の中で時間を過ごしたい
ここ最近ソロキャンプにもハマっていたわけですが、自分がソロキャンプの何に魅力を感じていたかというのを掘り下げて考えると「木々の中、ただひとりで自由な時間を過ごす」というところだなと。焚き火とかキャンプ飯とかもいろいろ試しはしましたし、様々なキャンプ場にも行ってみましたけど、結局のところ自分がいちばんグッときたのは「林間サイトの木々の中一人でぼーっとする」時間でした。ならば、いつでもどこでもその楽しみを独占できる、自分だけの拠点を作ってしまえばとてもしあわせなのでは…?というわけで、木々の中、人里離れ、ひとりで時間を過ごせる場所、というのを目指すことにします。これ秘密基地感ありますよね!

自宅から片道1時間でそこそこ静かなところ、という要件を満たすためには、自分の場合千葉・房総方面にほぼ絞られます。一度秩父方面の物件も見に行ったのですが、やはり自宅からは遠すぎてダメでした。秘密基地としてちょこちょこ使うためには交通の便が良くないといけません。
このあたり、自分はどの条件は譲れて、どの条件はしっかり守るか、は考えておいたほうがいいと思います。


秘密基地の基盤をどうするかかんがえる

秘密基地の基盤…というとあれですが、簡単にいうと
  1. 完成品の別荘を買う
  2. ボロ家を手に入れて補修する
  3. 更地を手に入れて自分で基地をつくる
のどのルートを通るか、です。
当然①がいちばん手っ取り早いのですが、当然「お小遣い」では済まない出費になります。が、じっくり見て回るとけっこういい物件があります。まさにこういうのがいいんだよな、というような山の中の小屋ログハウスから、海のすぐそばのフルリフォーム済の小屋など、すぐそのまま秘密基地にできそうな物件はちょこちょこ見つかります。だいたい相場感でいうと300万円~1000万円くらいでしょうか。今回は、そこまでお金をかけるつもりがなかったので後ろ髪ひかれながらも(いい物件があるんですよ!)あきらめました。
②は、リフォームを自力でやる根性があれば悪くないです。後述しますが、特に水回り、水道(または井戸)や排水(浄化槽)まわりは一から作るとそれだけでかなりお金がかかるのと、建築確認申請などの手間と費用も馬鹿になりません。そのあたりの手間とコストをショートカットするために古屋をベースとして使う、というのはひとつの選択肢でしょう。相場感は古屋の状況によって0円から100万円までくらい、当然建物は古いので「映え」る自分の理想の秘密基地!というよりも、機能優先・実利優先する選択となります。
今回結局選択したのは③なのですが、これはこれでけっこう大変です。土地の価格は0円から100万円くらい見ればかなり選択肢があります。更地からの建築は小さい小屋であっても都市計画区域内であれば建築確認申請が必要で、建築確認申請には建物の構造が充分な強度を持っているかなどを証明する必要があります。水回りなどのインフラ接続はゼロから行う必要がありますし、そのあたりの工事をまともにするとそれだけで3桁万円あっという間にかかります。お小遣いの範囲で、安く済ませよう!となるとできることがぐっと減ってきます。
理想を言えば都市計画区域外の土地を狙うとだいぶ考えることが減りますが、そこは良い出会いがあるかどうかとの兼ね合いもあるでしょう。千葉・房総の都市計画区域外の土地は同じようなことを考える人が最近は多いのか良い物件が少ないようです。

結局のところどのルートを辿るにしても、ちゃんとやるならお金はかかり、お金をかけないなら手間がかかる。
水回り・インフラについてはどのみちお金はかかるので、あきらめるか覚悟する。という感じのトレードオフとなるわけです。
自分は③のルートを取ることにしたわけですが、水回りはもう最初から考えないことにしました。せいぜい連続2~3日ほど滞在するだけですので風呂や洗濯は不要、飲料水は持ち込み、トイレはポータブルトイレで処理、排水・ゴミは持ち帰る、という運用(要するにキャンプですね)でまかなう覚悟で進めることにしました。



「秘密基地」用の物件を探す

地域を決める

自宅からの距離、基盤の要件などが決まってくると、どの地域の物件を探すべきかもおのずと決まってきます。
私の場合は千葉・房総、そして更地からはじめるのでできれば建築確認申請が不要な都市計画区域外。
千葉県の都市計画区域はこちらのページで調べることができます。この都市計画区域、次のような区分けがあります。
  • 都市計画区域内
    • 線引き都市計画区域
      • 市街化区域
      • 市街化調整区域
    • 非線引き都市計画区域
  • 都市計画区域外
この中でもっとも「秘密基地」的に自由が効くのは「都市計画区域外」です。千葉県の都市計画区域の図でいうと「白」のエリア。そう、実は意外と少ない!のです。
「都市計画区域内」は、非線引きと書かれているエリアでも、更地の状態からなんらか建物を建てるのには「建築確認申請」が必要となります。これはかなり手間もコストもかかる手続きで、素人でもできなくはないもののログハウスの小屋を建てるとかだとほぼ無理ゲーになってしまいます。(構造計算を楽できる決まった工法の決まった基準内の建物であればいいが、キットハウスなどで販売されているものはなかなかその条件を満たさない)
また、「市街化調整区域」の物件は除外しましょう。「市街化調整区域」とは「ここは開発(建物を建てたりとか)はしてはならん」と決められている、ということですのでロケーション的には「秘密基地」的なところが当然多いのですが、その場所でできることに相当な制約がかかってしまいます。
宅地(造成された土地)にするか山林にするかで「山(山林)を買う」ことにロマンを感じる人が多いと思いますが、手間の面ではかなりの覚悟が必要です。私はそこまで覚悟がなかったので宅地中心に探しました。後で説明しますが千葉には宅地として造成されていても人がいない土地というのがいっぱいあるので、結果的に正解だったと思います。

物件を探す

地域を決めたらいざ物件探しです。
いわゆる不動産検索サイトの類を見て回るのもいいですが、ああいったサイトには極端に安かったり一風変わっていたりなどという、「秘密基地」向きの物件は登録されていないことが多いのです。ただ、まったく無いわけではないのでチェックはしておいたほうがいいでしょう。
では、不動産検索サイトのほかはどのようなところを探すといいのでしょうか?

みんなの0円物件

みんなの0円物件」は、一般の不動産市場ではなかなか売れないような、一般的な価値判断では値段がつかないような物件を、それが欲しいという需要者とマッチングして不動産の無償譲渡を成立させるマッチングサイトです。今回私の秘密基地用の土地もこちらで譲っていただきました。家を建てる宅地としては値段を付けにくい、難がある土地を手放したいかたと、「秘密基地」用の土地を探していた私。いい形でお互いの利害がかみ合ったというわけです。このようにたまたま条件が合う物件があれば、無償(とはいえ登記などにコストはかかります。詳細は次回記事にまとめます)で譲っていただけることがあります。
ただしこちらは「タダで土地をくれるサイト」ではなく、先に書いたとおり「手放したい人と、需要者を結びつけるマッチングサイト」です。自分の需要と手放そうというかたの希望をすり合わせ、敬意を持って譲り受ける姿勢は忘れないようにしましょう。

家いちば

家いちば」は、不動産を直接売りたい人のための掲示板サイトです。不動産屋が最初から仲介に入るわけではなく、売主が好きなように情報発信し、最終的に条件が妥結したところで仲介・手続きに費用を支払う形の物件紹介サイトとなります。なので、一般の不動産業界ではあまり扱わないような変わった物件が掲載されていることが多いです。
家いちばは「売りたい」人が多いので「みんなの0円物件」のような無償譲渡こそないものの、秘密基地っぽい物件も見つかるのでチェックしておくと掘り出し物が見つかるかもしれません。

地元の草刈り業者

まず千葉の地域性の話から説明します。
千葉の郊外、特に北総地域のあたりはバブル時代の地価狂乱時に乱開発されました。土地はいくらでも値上がりする、次の東京のベッドタウンはここだ、との名目で小規模な宅地の開発が無秩序に行われたのです。とても不便な場所でも、土地があればそこを造成し、区画を区切り、分譲地として販売する。しかしそれを買う側も実際に住むことはせず土地のまま持っているだけ。そんな歴史もあり「造成はされど建物も建たず人もいない、放置されている土地」が千葉のそこかしこにあります。
しかし土地はそのまま放置しておくと草が伸び放題になり周囲に迷惑をかけてしまう。そこで、年に数回「草刈り」をする専門業者があります。結果として、住む予定はないが草刈り業者と契約をしていて、造成されただけの空き地を何十年も草刈り続けている、そんな土地がいっぱいあるのです。
いい加減そんな土地は手放したい、そう思っている土地の持ち主もいっぱいいます。で、草刈り業者のもとに「売地」として登録されているわけです。
こういった「放棄分譲地」の土地情報は草刈り業者自身が一番いっぱい持っています。なので、「地元の草刈り業者」の不動産情報はチェックしておく必要があるのです。
  • 日栄不動産:千葉(房総)の土地情報については最も充実している不動産屋さん
  • 大里綜合管理株式会社:日栄不動産ほど整理されていないが情報量はある土地管理業者さん
  • 有限会社両総管理:問い合わせてみないと何もわからないがここにしかない土地情報がある管理業者さん
おおむねここに書いた紹介のとおりで、千葉の土地を探すなら日栄不動産は絶対に見ておくべきです。両総管理はほとんど情報がないに等しいですが、これはどうかな?と思った物件に関しては問い合わせると資料を送ってもらえます。
ほかにも「千葉 田舎ぐらし」などのキーワードで探すと地元の不動産屋さんがいくつか見つかり、他にはない物件情報があったりします。あまり安くはなかったりしますが、おっと思う情報は地元の業者にあることが多いので地域が決まったら不動産検索サイトに頼らず地元の情報をきちんと調べてみるのがよいと思います。

そして…

先述したとおり、私は「みんなの0円物件」でちょうどいい土地と出会うことができました。 ではそこから何を考えて申し込んだのか?どういう手続きをしたのか?登記は自分でできるのか?いくらかかるのか?というあたりを次回のblog記事でまとめたいとおもいます。

次回:土地を手に入れる篇② 土地を実際に手に入れ登記をしてみる