2016/10/03 ■ 「ホログラム」より凄い、$899の立体ディスプレイ「Volume」と、「立体ディスプレイ」という技術 Xでつぶやくこのエントリーをブックマークに追加このエントリーを含むはてなブックマーク

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「Volumetric Display」…つまり、いままでのディスプレイのような「平面」ではなく、「立体」を表示するディスプレイ。奥行も含めて、「体積」を感じられるディスプレイ装置。そんな夢のような新製品「Volume」が先日発表され、発売前の予約が始まりました。

奥行も表示される立体ディスプレイ…というと、「ホログラム」という語が思い浮かびますが、じつは2016年現在一般的に「ホログラム」「ホログラフィック」と呼ばれている立体映像の類は、ほぼすべてが「ホログラムではない」し、「立体(3D)ではない」ものだったりします(詳しくは後述します)

そんななか、今回発表された「Volume」は、やはりホログラムではないものの、「立体」のディスプレイを実現しています。原理自体は簡単なもので、だからこそ万能ではない(欠点もある)のですが、プロモーションビデオなどを見る限りではなかなかいいかんじに見えます。これがいまなら$899(定価$2099、プリオーダー受付開始初期価格が$999、紹介リンク経由の注文だとさらに$100割引の$899)というわけで、なんだか手の届くものになってきました。

よく世間で「ホログラム」と呼ばれている技術

よくライブやステージイベントなどで見る「ホログラム(と呼ばれている演出)」は、そのほとんどは「透過スクリーン」か、または「ペッパーズゴースト」と呼ばれる手法を使っています。

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半透明なスクリーンボードに直接プロジェクターで映像を投影し、空中に映像が映っているように見せる手法が「透過スクリーン」のタイプです。スクリーンの透明度を上げると、スクリーンの奥にある物体が見えやすくなるけれどもプロジェクターの像は見えにくくなる。スクリーンの透明度を下げると、プロジェクターの像は明るく見えやすくなるが、スクリーンの奥の物体は見えにくくなる。このあたりをどう折り合いつけるかがひとつのキーポイントになります。

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映像自体は床または天井に投影し、それをハーフミラーで反射させることで空中に映像が映っているように見せる手法が「ペッパーズゴースト」と呼ばれるタイプです。これは照明を工夫することで透過スクリーンタイプよりも透明感のある(映像があたかも浮いているような)演出が可能なのですが、天井や床にも映像が「見えてしまう」こと(つまり見せたくない場合はステージとお客さんの間の位置関係やステージ構造に制約がかかる)、ハーフミラーを45度の角度に設置するため奥行もある程度必要になることなど、それなりに制約はあります。

よくスマートフォンやタブレットと組み合わせて「机の上でホログラムが!」というような体験を売りにしているものは、おおむねこのペッパーズゴーストという手法です。

半透明スクリーンやペッパーズゴーストは「立体映像」か

これらの手法による「ホログラム」(と呼ばれているもの)は、「立体映像」と思われがちですが、あくまでも「一枚の平面の映像を、空中に浮いているかのように提示する技術(=平面像の空中結像)」です。

「立体映像」と「平面像の空中結像」。では、これは何が違うのでしょう。

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いちばんわかりやすいのが、これを斜めから見たときにどう見えるか。

理想的な「立体映像」では、「被写体を斜めから見た様子」が見えるはずです。ところが、「平面像の空中結像」では、「被写体を正面から見た様子が斜めから」見えます。映像自体が板として見えてしまうのです。

「立体映像」を追い求めて

では、どうすれば真の「立体映像」をつくることができるのか。もっとぶっちゃけると、スターウォーズ・エピソード4の「レイア姫の映像」はどうすれば現実にできるのか。それはもうさまざまな手法が研究・検討されています。

一番ストレートな解決策といってもいいかもしれないのが、LED Cube。LEDを立体的に、物理的に並べてしまい、まさしく「立体」の「ディスプレイ」をつくるものです。高密度化(高解像度化)が難しい、密度を上げれば透明度が下がる(LEDや配線など物理的な物体の密度が上がるので…)といった問題があります。

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多層タイプ。透明なディスプレイをなるべく狭い間隔で何層も重ね、各層ごとにそれぞれ別の映像を出すことで、LED Cubeよりも(X-Y方向は)高密度に映像を出そう、というものです。ディスプレイの透明度をどう確保するか、X-Y方向が高密度になればなるほどどうしてもZ方向(奥行方向)の層の少なさが目立ち「立体映像」というよりも「平面像がいっぱい並んでいる」ように見えてしまうことも多く、そこのバランスが難しいところ。(※今回紹介した「Volume」はこのタイプ)

360º Light Field Display

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残像タイプ。LED Cubeでは密度を上げられないので、高密度なディスプレイを高速に、物理的に動かして目の残像で空中に映像を描く。そして物理的な位置にあわせて映像を高速に変化させることで、空中の任意の位置に任意の画像を描く=立体的な映像を描く、のが残像タイプのもの。映像をLEDで表示するもの、超高速プロジェクターを使うもの、などバリエーションはありますが、このタイプのものはかなりいろいろと研究されています。高速に、物理的に動く必要があるので大型化が難しいなどの問題があります。

…といろいろ手法を紹介していると、「なんで空中に映像を直接出さずにいろいろ回りくどいことをしているの??」という気分になってきますが、それは「空中に映像を出す」=「空中から光を出す・または・空中の任意の位置で光を反射・拡散させる」という意味であり、それがとてもとてもとても難しい、というシンプルな理由によります。

ところが、この「難しい」ことを真面目にやろうとしている人もいます。高出力のレーザーを空中に向けて出し、その部分の空気をプラズマ化することで発光させるのです。こうすれば、まさしく文字通り「空中に絵を描く」ことができます。ただしもちろん装置は超おおがかりですし、とても危険なものになります(出力時間をごく短くすることで「触れる」ようにした研究もあります)。まだ「ディスプレイ」というには厳しいですが、まさに力技といえます。

ほかにも「斜めから見たら斜めから見える」技術としてはライトフィールドディスプレイや(本来の)ホログラムなども挙げられますが、今回は説明を省略します。

 

レイヤータイプの立体映像装置「Volume」

では、この「Volume」はどのような構造で、どのようにして立体映像を実現しているのか。これは、公式のプロモーションビデオや、Unityを使ってコンテンツをつくる方法の解説ビデオなどをじっくり見ると見えてきます。

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「Volume」は、説明によると「多層タイプ」の立体映像装置。解像度や層の数について詳しい説明はありませんが、どうやら10層のようです。

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各層は透過スクリーンでできていて、各層すこしずつ傾けて配置し…

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下からプロジェクターで全層ぶんの映像をまとめて投射することで、層ごとに別の映像を映し出している…という構造みたいですね。

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なので、「Volume」で作る映像は、各層の映像をぎゅっと縦に圧縮したものを10層ぶん並べて作ります。この10列の映像が奥行方向に並んでいくことで、手前から奥までの「立体」を表現する、というわけです。

 

「Volume」の利点と欠点

…という構造であることが見て取れたわけですが、ここまでわかればこの予告動画の時点でその限界みたいなものも見えてきます。

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・二次元の映像が10層分ならぶ構成のため、「立体」に見えるか、それとも「10層の並んだ映像」に見えてしまうかはまだよくわからない。たとえばプロモーションビデオでもこの場面ではだいぶ「奥行方向の解像度の低さ」が目立っているようなイメージです。ただ、各層の見せ方次第、コンテンツ次第でだいぶ印象は変わるのと、「奥行方向に10段階あるディスプレイ」であることには違いないので特性をつかめばいろいろな使い方ができるはず。

・層ごとに見ても、縦方向(Y軸)の解像度は低い。すべての層にフル解像度の映像を出すことがもちろん理想ですが、「Volume」は1台のプロジェクターで10層まとめて表示する仕組み(たぶん)です。つまり1枚の映像を10分割して各層に表示しているわけですから、そのぶん1層あたりの解像度が低くなるわけです。これはコスト・実現性とのバランスかなと思います。

・いわゆる裸眼立体視ディスプレイ(ニンテンドー3DSのような)とは違い、視点の位置に依存しない。「左目用」「右目用」という形で映像を表示する(またはもう少し視点数の多い場合でも)タイプの3Dディスプレイは、ディスプレイと視点(目)の位置との位置関係がある程度固定されている必要があります。「Volume」にはそういう制約がありませんので、今までにない不思議な感覚が得られるのではないかと想像しています。

 

「立体ディスプレイ」の「Volume」

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と、もろ手を挙げて「これはすごく未来だ」というものではないのは見えてきましたが、それでもたとえば同じ物を自作しようとすると、(映像から汲み取れる)透明度が高く、かつ、発光も悪くないように見えるスクリーンだったり、非常に精密な組み立てを要求されることが容易に想像できるなど、実はそう簡単なものではありません

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Unity向けの開発キットも配布しており、既にそれで作られたゲームなども公開されています。「すごく未来」のガジェットではないかもしれないけど、ちょっと未来の「本当に立体(にみえるかもしれない)ディスプレイ」。最終価格は$2099(約21万円)ですが、現在$999(約10万円)でプリオーダー(事前注文)受付中。そして、こちらのリンクをクリックしてそのまま注文すればさらに$100の割引が効き$899になります。現段階では2017年4月末発送予定となっています。

もちろん、海外の、新興メーカーによる事前注文受付なので「届かない」というリスクもあります。が、「Oculus Rift」や「Leap Motion」などもこのスタイルで世に出てきた未来。おもしろそう、と思ったらちょっと踏み込んでみても面白いかも(というか私は踏み込みました)。

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まだプリオーダーなので住所までは入力する必要はなく、郵便番号・クレジットカード番号の入力だけで終了します。当初はUS国内の住所しか入力する場所がなかったのですが、今は国の入力項目が増えており、発送先に日本も選べるようです。

$100安くなるよ

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というわけで、「Volume」に興味を持ったかた、再度繰り返しますが『海外の、新興メーカーによる事前注文受付なので「届かない」というリスクもあります』。そして、「夢の立体ディスプレイ」というよりも、おそらくは「現実的にまとめあげた、よくできた多層ディスプレイ」です。が、それでも俺はポチってみるぜ!という場合はこのリンクからとんだ先の真下にある「PRE-ORDER NOW」のボタン(※右上にあるボタンを押すと割引が効きません!)を押し、

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ここから注文すると、$100の紹介割引が効きます。

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はてさて、ちゃんと届くのか、またどこまで面白いデバイスになるか、楽しみですね!