まもなく海外で販売が始まる「全天球360度カメラ」RICOH THETA、ゆえあって発売前にお借りすることができたので毎日のように使い倒していて、なかなかこれが気に入っています。
で、あいかわらず子供と近所の公園で遊んでいたりするときにサクっと全天球のスナップを撮ったりしているわけですが、やはりどうしてもこのカメラ「必ず自分の姿が写ってしまう」のが困りもの。まあ、逆に言えば今まで家族のスナップには極端に自分が写ったものが少なかったのでそれもまたよしとも言えるのですが、風景を撮りたい時でも自分(そしてTHETAを握った自分の手)ががっつり視界に入ってしまうのはちょっと避けたいところではあります。
もちろんTHETA自体は商品としてこういうニーズにもしっかりと対応していて、先のレビュー記事でも書いたとおりiOSアプリ(年末を目処にAndroidも)を使ってWiFiで遠隔シャッター操作することができるようになっています。私自身もその仕掛けを使ってインターバル撮影を仕掛けて閉館予定である秋葉原ラジオストアーの勝手ストリートビューを撮影などもしました。
しかしですね
その後調子に乗って自転車用ヘルメットにTHETAを装着などしていた時に気がついたのです。気がついてしまったのです。
THETAをヘルメット・マウントして自転車に乗り込んだ3秒後に気がついたが、やっぱり物理ボタンのリモートシャッターボタンが要るなこれw あとで作ろう…
— MIRO (@MobileHackerz) September 27, 2013
というわけで(?)「物理的に、手探りで押せる、WiFiリモートシャッター」を作ってみることにしました。うまくいけばスマホによるリモートシャッターよりも手軽に使えるようになるんじゃないかな、と。
要件は
- WiFiで接続し、RICOH THETAのシャッターを切れること
- つまり、ある程度自由にsocketプログラミングができる環境(PTP-IP対応)が必要
- 物理ボタンが少なくとも1つあり、バッテリー駆動できてコンパクトな筐体であること
「WiFiが使えてsocketなプログラムが動いてボタンが少なくとも1個使えてコンパクトでバッテリー駆動するもの」が作りたい、という要件から最初はWiFi SDカード系をベースに電源とボタン(シリアル経由)を追加してやろうかと思っていたが、もっとたいへんぴったりの素材があった感
— MIRO (@MobileHackerz) September 30, 2013
これでもまあだいたいはうまくいきそうではあったのですが、SDカードの外装をはがしてボタンを増設するのは結構工作難易度高いし、1個作るだけならともかく広くみんなで使ってハッピーになるのは難しそうだなあ、とも思い始めました。そして工作自体もきれいに(小さく)まとめるのは結構大変だよなあ、なんかほかにもっと簡単にリモコン作れるいい素材はないかな…?と思ってあらためて探してみたら…
あ り ま し た !
その名はPQI Air Pen。もともとはポータブルなワイヤレスルータ製品なのですが、どうやらLinuxが動いていてHack可能であること、ボタンがついていてコンパクトでしかもバッテリー内蔵で2時間くらい駆動できるということでまさしくリモコンにうってつけ。あまりにもうってつけなのでハードウェアはまんまこれを使うことにして、ソフトウェアだけの工夫でこいつを「リモコン(リモートシャッター)専用機化」してみることにしました。
そんな経緯で完成したのがこちら(ThetaShutter_PQIAirPen001.zip)。PQI Air Pen自体はとてもコンパクトで「シャッター専用リモコン」として扱っても違和感のないサイズです。今回は、このPQI Air PenとmicroSDカードを用意して、ソフトウェアを書き込むだけで「THETAリモコン化」します。
用意する材料
用意する材料は、RICOH THETAのほかはPQI Air Pen、microSDカード(なんでもよい)だけ。このようにアーカイブのファイルをそのままmicroSD直下に配置しPQI Air Penにぶっさせば完了です(※詳細な手順はアーカイブ内に書いてあります)。
つかいかた
THETAの電源(と無線)をONにした状態で、「THETAリモコン化」したPQI Air Pen(以下“THETAリモコン”)の電源を入れます。そのまま3~40秒ほど待つとTHETAとTHETAリモコン間が接続し、THETAリモコンの中央のLEDが緑に点灯します。
この状態がリンク完了です。
あとは、THETAリモコン本体脇の小さいボタンを押すと、THETAのシャッターを切ることができます。
ちょっとくやしい
- リモコン起動時の接続待ち時間はもうちょっと早くしたかった。とはいえ電源入れるだけで勝手に繋がるので、THETAを設置して離れて…の間に繋がっちゃいますから急いで使いたい時以外はさほど苦にはならないと思います
- シャッターは脇のボタンではなく、(電源の)Pボタンにしたかった…。けど、このボタンはgpioから読めなかったのでした。ざんねん!
結構小さくて「電源入れてボタン押す」だけでリモコンシャッターとして使えるので活躍しそうです。
※その後露出ブラケット撮影可能にするなどバージョンアップしています。詳細はこちらのページをごらんください
余談
PQI Air Pen、中身はLinux+busyboxでばりばりGPLなソフトウェアが使われているのですが、説明書にもサイトにもGPLに関しての記述が一切見つからない(ソースも見つからない)んですがこれだいじょうぶなんでしょうかね…RICOH THETA関連のその他の記事:
- 2013/09/24 ■ 「写真」の概念を変えるポテンシャル!“360度カメラ” RICOH THETA
- 2013/09/25 ■ 秋葉原ラジオストアーが11月末で閉館!?と聞き、勝手ストリートビューを作ってみた