2013/10/01 ■ RICOH THETA用の物理リモートシャッターボタンをつくるの巻 Xでつぶやくこのエントリーをブックマークに追加このエントリーを含むはてなブックマーク

※RICOH THETA関連のHACKが増えてきたので、まとめた別ページを作りました

まもなく海外で販売が始まる「全天球360度カメラ」RICOH THETA、ゆえあって発売前にお借りすることができたので毎日のように使い倒していて、なかなかこれが気に入っています。
で、あいかわらず子供と近所の公園で遊んでいたりするときにサクっと全天球のスナップを撮ったりしているわけですが、やはりどうしてもこのカメラ「必ず自分の姿が写ってしまう」のが困りもの。まあ、逆に言えば今まで家族のスナップには極端に自分が写ったものが少なかったのでそれもまたよしとも言えるのですが、風景を撮りたい時でも自分(そしてTHETAを握った自分の手)ががっつり視界に入ってしまうのはちょっと避けたいところではあります。
もちろんTHETA自体は商品としてこういうニーズにもしっかりと対応していて、先のレビュー記事でも書いたとおりiOSアプリ(年末を目処にAndroidも)を使ってWiFiで遠隔シャッター操作することができるようになっています。私自身もその仕掛けを使ってインターバル撮影を仕掛けて閉館予定である秋葉原ラジオストアーの勝手ストリートビューを撮影などもしました。

しかしですね
その後調子に乗って自転車用ヘルメットにTHETAを装着などしていた時に気がついたのです。気がついてしまったのです。

そう、たとえスマホで遠隔シャッター切れたとしても、自転車に乗りながらスマホなんて操作できないよという衝撃的な事実に気づいてしまったのですよ…!

というわけで(?)「物理的に、手探りで押せる、WiFiリモートシャッター」を作ってみることにしました。うまくいけばスマホによるリモートシャッターよりも手軽に使えるようになるんじゃないかな、と。
要件は
  • WiFiで接続し、RICOH THETAのシャッターを切れること
  • つまり、ある程度自由にsocketプログラミングができる環境(PTP-IP対応)が必要
  • 物理ボタンが少なくとも1つあり、バッテリー駆動できてコンパクトな筐体であること
リモートシャッター、つまりリモコンを作りたいわけですが、赤外LEDとマイコンがあればまあどーにでもなる赤外線リモコンと違い、今回相手にするのはWiFiです。ハードウェアもソフトウェアも法制面でも赤外線「リモコン」とは難易度の桁が違う。1から全部自分でつくるお!…というのはさすがに大変すぎるので、なんとかして手を抜く方法を全力で考えます。


当初考えたプランは、WiFi SDカード(PQI Air Cardなど)Hackしてリモートシャッターのプログラムを書き、それに電源とボタン(カード外装をはがすとRxD,TxDと書かれたパッドが顔を出すそうなのでそこを使う)を追加することで小型なWiFiリモコン端末を自作する…というものでした。

これでもまあだいたいはうまくいきそうではあったのですが、SDカードの外装をはがしてボタンを増設するのは結構工作難易度高いし、1個作るだけならともかく広くみんなで使ってハッピーになるのは難しそうだなあ、とも思い始めました。そして工作自体もきれいに(小さく)まとめるのは結構大変だよなあ、なんかほかにもっと簡単にリモコン作れるいい素材はないかな…?と思ってあらためて探してみたら…

あ り ま し た !

その名はPQI Air Pen。もともとはポータブルなワイヤレスルータ製品なのですが、どうやらLinuxが動いていてHack可能であること、ボタンがついていてコンパクトでしかもバッテリー内蔵で2時間くらい駆動できるということでまさしくリモコンにうってつけ。あまりにもうってつけなのでハードウェアはまんまこれを使うことにして、ソフトウェアだけの工夫でこいつを「リモコン(リモートシャッター)専用機化」してみることにしました。

そんな経緯で完成したのがこちら(ThetaShutter_PQIAirPen001.zip)。PQI Air Pen自体はとてもコンパクトで「シャッター専用リモコン」として扱っても違和感のないサイズです。今回は、このPQI Air PenとmicroSDカードを用意して、ソフトウェアを書き込むだけで「THETAリモコン化」します。

用意する材料

用意する材料は、RICOH THETAのほかはPQI Air PenmicroSDカード(なんでもよい)だけ。

あとは説明書に記述した手順通りにPQI Air Penを設定し、
このようにアーカイブのファイルをそのままmicroSD直下に配置しPQI Air Penにぶっさせば完了です(※詳細な手順はアーカイブ内に書いてあります)。

つかいかた

THETAの電源(と無線)をONにした状態で、「THETAリモコン化」したPQI Air Pen(以下“THETAリモコン”)の電源を入れます。
そのまま3~40秒ほど待つとTHETAとTHETAリモコン間が接続し、THETAリモコンの中央のLEDが緑に点灯します。
この状態がリンク完了です。
あとは、THETAリモコン本体脇の小さいボタンを押すと、THETAのシャッターを切ることができます。

ちょっとくやしい

  • リモコン起動時の接続待ち時間はもうちょっと早くしたかった。とはいえ電源入れるだけで勝手に繋がるので、THETAを設置して離れて…の間に繋がっちゃいますから急いで使いたい時以外はさほど苦にはならないと思います
  • シャッターは脇のボタンではなく、(電源の)Pボタンにしたかった…。けど、このボタンはgpioから読めなかったのでした。ざんねん!

結構小さくて「電源入れてボタン押す」だけでリモコンシャッターとして使えるので活躍しそうです。

※その後露出ブラケット撮影可能にするなどバージョンアップしています。詳細はこちらのページをごらんください

余談

PQI Air Pen、中身はLinux+busyboxでばりばりGPLなソフトウェアが使われているのですが、説明書にもサイトにもGPLに関しての記述が一切見つからない(ソースも見つからない)んですがこれだいじょうぶなんでしょうかね…

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