2018/09/30 ■ 小型FPVドローンで遊びたくてアマチュア無線4級を取る話 Twitterでつぶやくこのエントリーをブックマークに追加このエントリーを含むはてなブックマーク

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「いまドローンが熱いんですよ!!!」
「んー、DJI Sparkなら持ってるけどなかなか飛ばすとこないんだよねー」
「いやいやいや、DJIなんてかったるいやつじゃなくて、時代はいまFPVのマイクロドローンですって!!超楽しいから!!屋内で遊べるし!!」
「えーー、あの手のFPVってアマチュア無線の免許要るんじゃなかったっけ。それに高いんでしょ?」
「それがカメラもドローンも実は結構安いんですよ!!免許なんて別に取りゃーいいじゃないっすか!!」
「うーん…」

と先日力一杯煽られまして、やっぱり楽しそうだなー、アマチュア無線だけでも取っとくかなー、簡単だって話は聞くし、とかそんなようなことをぼんやり思っておりました。

で、ある日…

どうやって取ればいいんだろう?と思い立って調べてみる
→どうやら「当日受付試験」というのがあって、それだと事前の申し込みとかなくいきなり試験会場に行けばいいらしい。なるほど。
→で、次にやる「当日受付試験」っていつよ
→うお、明後日!!!!
→よし受けてみるか。で、何勉強すればいいの?

というスーパーその場の勢いと思いつきでアマチュア無線4級の試験を受けてきましたので、その経緯をまとめてみたいとおもいます。



小型FPVドローンってなに?

オンナノコズの映像とか、近畿大学のCM動画などで最近注目を集めている「FPVマイクロドローン」というジャンル。
FPVとはFirst Person View=1人称視点のこと。ドローンに小型の無線伝送カメラをつけて、そのリアルタイムの映像を見ながら操縦することのできるタイプのドローンです。そのなかでも、室内でも飛ばせ、安全性も高い「超小型」のものが流行っているようです。
このとき、無線による映像伝送は「低遅延」が命。この映像の視界に頼ってドローンを操縦するので、映像がすぐ切れてしまうとか、映像に遅延があったりするとまともに扱うことができないのです。というわけで、トイドローンでよく使われている(が、遅延のある)WiFi+Motion JPEGの映像ではなくアナログの映像無線を使うことが多いようです。

5.7/5.8G映像伝送について

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ここで出てくるのが「5.7/5.8GHz映像伝送カメラ」。世界ではこの用途に広く使われているためか、製品の選択肢もかなり多く安価なものが揃っています。ところが日本ではこの周波数帯域は別の用途(ETCが5.8GHz帯を使っている)で使われていたりなど「自由に使える」無線帯域としては解放されておらず、電波を発するには免許が必要…という状況というわけです。
ドローンが使う無線については総務省が「ドローン等に用いられる無線設備について」としてまとめていますが、ここにアマチュア無線をドローンで使う場合の注意点も書かれていますね。
なおカメラはいろいろありますが、局免(無線局免許状・後述)を申請するのに必要な「系統図」を入手できるものを探した方がよいです(Amazonなどでも見つかります


アマチュア無線について

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というわけでアマチュア無線。アマチュア無線は金銭上の利益のためではなく、無線技術に対する個人的な興味により行う、自己訓練や技術的研究のための無線通信」と定義されています。あくまでも個人的な興味に基づいて、自己訓練や技術的研究のために行うもの。いやもうドローンでFPVとか無線むっちゃ興味あって技術的研究したいんでここはクリアと。(※つまり仕事に使ってはいけません)
人に対して発行される「無線従事者免許証」と、無線局に対して発行される「無線局免許状」がそれぞれ必要で、この文脈で「アマチュア無線の免許を取る」というのは前者の「無線従事者免許証」にあたります。まずこれで「この人は無線を取り扱うにあたり十分な知識がありますよ」ということを認めてもらい、次に「この無線機(たち)を使って無線局を作りますよ、技術的に問題ないですよ」ということを認めてもらう(無線局免許状)、というわけです。

まあまずはともかく「無線従事者免許証」。「4アマ」ことアマチュア無線4級の免許を取ってみないことには話が始まりません。


というわけで

冒頭の話まで戻ります。「んー、次の当日受付試験はいつなんだろう?」と思ったら→「明後日!!」ということがわかり、急ぎ参考書を買いに行きました。
ところが…

アマチュア無線の本が、街の本屋さんに、無い!!!

いやまあそうですよねはい確かにって感じなんですが、大きめの書店に行ってもびっくりするほどなかったです。素直にAmazonで買うか、というか終わってみると実感として「これ別に参考書要らなくね?」という気持ちもちょっとあるのでネットでひたすらがんばるかでいいんじゃないかと思います(私はAmazonの配送待てるほど時間がなかったので秋葉原の書泉に行って買ってきました。さすがにここなら揃ってました)


どんな試験で、どんな勉強をすればよい?


試験は「法規」と「無線工学」からそれぞれ12問、全24問のマークシート式。それぞれ60点満点のうち40点取れば合格。たとえば法規が60点で無線工学が30点、という場合は不合格です。「それぞれ」40点以上取る必要があります。つまり、「法規」「無線工学」各12問のうち4問まで間違えても合格できると言い換えられます。

そしてこれもまた有名な話なんですが、「アマチュア無線4級の試験は、過去問の中から(ほぼ)そのまま出る」ので「過去問を暗記しておけばそれだけで大丈夫」です。ロジックとか詳細よくわかってなくても、「この問題の時はこの答」だけ覚えておけば大丈夫というガバガ…優しいシステムになっています。どうなんかなそれ、と思いながら私も最初はしっかり勉強しようとも思ったんですが、すぐにめんどくさくなって問題のパターンを覚えていくようになりました…

過去問を暗記といっても「『不正』というキーワードが出てきたら『免許取り消し』の選択肢を選べばいい」という感じのガバガ…優しいシステム。そのへんのポイントは先にAmazonリンクで挙げた本「初級アマチュア無線予想問題集2018年版:完全丸暗記」にまとめて載ってます。というか書名もそのまんま!

この書籍に過去問がずらっと載っているのでそれを解いてパターンを覚えればいいだけなんですが、すぐに本を開くのがかったるくなってほとんどはこちらの「第4級アマチュア無線技士 過去問題集」というサイトでオンラインでぽちぽちしていました。っていうかここ繰り返しているだけでだいたい覚えますね、ほんと。本要らなかったかも。


試験の受けかた

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通常は事前に申し込みをすると試験会場の案内と受験票が郵送されてきたりするらしいのですが、なにぶん思いつきで行動しているので「事前に」何かするとかもう無理なわけです。というわけで先に書いたとおり「当日受付試験」というものを受けました。これは日本無線協会の本部(東京・晴海)で毎月行なっている「事前の申し込みが必要ない、当日行けば受けられる試験」。詳細はこのPDFを。
当日持っていくものは「お金(試験料その他で5000円強、免許の申請もするならもう2300円くらい)」「証明写真(運転免許証用の写真と同じサイズ)2枚」「筆記用具(マークシートなので鉛筆と消しゴム)」あと「住民票」。後述しますが住民票は後日でもだいじょうぶです。写真を規定サイズに切るためのカッターとか貼る糊とか、申請書を書く用のボールペンとかは貸してもらえますので↑だけあれば乗り切れます。申請書の用紙も現地で買えるので心配無用。
これらを持って、受付時間に現地(日本無線協会本部)に行きゃーなんとかなります。たぶん。

で、当日受付試験をやってる日本無線協会本部の近くにある「晴海トリトン」にはでかいダイソーもあるし自動証明写真機も複数台あるので、少し時間に余裕を持っていけば写真も筆記用具も現地調達できます。というか私はそうしました。電車やバスだと若干不便なところですが、車で行くなら晴海トリトンの駐車場がおすすめです。近隣にコインパーキングもありますが、なぜかこのあたりけっこう料金設定が高いので素直にトリトンの駐車場を使いましょう。安いです。

で、本当に一夜漬けで合格できるのか

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できました(笑)
一夜漬けっていうか、

【金曜日】 すぐに当日受付試験があることに気がついて参考書を買ってきてパラパラめくる
【土曜日】 子供と近所の学校の文化祭に行ったり子供の勉強を見たりFGOギル祭の周回をしたりで忙しい
【日曜日】 勉強するか…→午後当日受付試験→合格

というわけで、実質半日もやらなかったような…いや合計すると半日くらいはやったかな…。
それなりにやってはおかないと解けない(法規の用語やら指定事項とか無線機の構造なんてのは事前の知識にはまったくなかったので覚えないとわからない)けれども、パターンはそう多くないのと少し背景を考えながら頭に収めていき、ひたすら問題を繰り返して解いていけばわりと頭に入ります。それと、12問のうち4問は間違えても合格できるのです。正直こんなゆるい試験ないと思います…。(とはいえ自分は自己採点で24問中1問悩んだ結果間違えちゃったかな?というのがあったくらい。一夜漬けでもそれくらいにすぐなります)

免許の申請

合格したら、申請して免許(無線従事者免許証)を発行してもらう必要があります。この申請は試験会場で行うこともできますが、後日自分で直接総務省に送ることもできます(自分で直接やったほうが実は費用が安い)。申請には住民票が必要なのですが、私はなにぶん「受けよう」と思ったときには住民票を取りに行けるタイミングがもう無かったので、これは明日以降やります。というか土日住民票発行してよ区役所さん!


その昔、某無線系出版社で働いていたときに「え!?アマチュア無線の免許持ってないの!??」と超驚かれたことがあったのですが、今回自分で受けて見てその理由がわかった気がします。かなり気楽に取れる「免許」なので、ドローンFPVとかに興味がある向きも挑戦してみる価値はあると思います。
さあ、従事者免許証の申請をしたら、次は局免だ!これもいろいろ調べながらやっていこう…!





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