2015/05/15 ■ TNGパトレイバー実写版の撮影に(個人で)協力したはなし Twitterでつぶやくこのエントリーをブックマークに追加このエントリーを含むはてなブックマーク

「実写版パトレイバー」こと現在劇場公開中の「THE NEXT GENERATION パトレイバー 首都決戦」みなさんもう見に行きました?
実はこの一連のパトレイバーの撮影に、以前ほんのちょっとだけ個人で撮影協力させていただく機会がありました。けっこう前の話なのですが、そういえばまだblogに書いていなかったな…ということで、まだ!上映しているうちに!書いておこうかとおもいます。

そもそもの発端は仲良くさせていただいているアーケードゲーム博物館計画さんからの相談でした。

「ゲーム機を改造して、7セグLEDの得点表示を乗っ取って自由に表示を変更したいんだけれど…」

ん?なんだかわかんないけど、別に問題なくできるんじゃないかな?…とまずは答えたのですが、具体的になにすんの?と聞いてみるとなにやら昔のナムコのパンチングゲーム「ノックダウン'90」のスコアを決まった点数にしたいとのこと。


あぁー、これかー!

しかしこれの得点表示を乗っ取る?つまりどういうこと…?と、確認もかねて話を聞いた晩にちゃちゃっと仮組してみました。

「えーと、つまりやりたいことはこういうかんじ?」

ちなみにここで使ったボードはMSP430 LaunchPad。たまたま手元にあって使ったことがなかったのでLチカやってみるかくらいのつもりで作ってみたのですが、とても使いやすくてこのマイコン初めてだったのに何も困らずあっという間にここまで実装できたのを覚えてます(その後しばらく愛用しました)。

そうそう、それですそれがやりたいのです!!ということでさらに詳しく話を聞いてみると「テレビドラマの撮影で主人公の成長を描くため台本通りのスコアを出したいとのリクエストがありまして」おーなるほどなるほど。
しかしよくよく考えてみると、このノックダウン'90というゲーム、点数表示を乗っ取るのはいいのですが(どうせハーネスで得点表示パネルが繋がってるだろうから、そこ割り込めばいいだろうし)よくよく動画を見てみるとスコアによって横のランキング表示やSEが変化しているみたいじゃないですか。ひょっとすると点数表示だけいじるんでは足りないんじゃない?もしかすると、実際にパンチ力をはかるセンサをだまして目的の得点を出してしまったほうがよいのではないか?


…さて。ここでしれっと「パンチ力をはかるセンサをだます」という話が出てきましたが…
こういったパンチングマシンはどうやって「力」を測っているのでしょうか

知っている人は知っていると思いますが(私はたまたま知っていました)。実は結構かんたんな仕組みでできています。

起き上がったミットを全力パンチでたたき込む、するとミットが動き倒れるわけですが…
そのミットが倒れる速度を計測しているのでした。


この仕掛け、パンチングマシンだけでなく古くはベラボースイッチなども同様の仕掛けで強弱を測定しています。

…というわけで、おそらく(私の知識が正しければ)パンチングマシンの強弱は「2点間のミットアーム通過時間」という「デジタルな情報」から測定されているはずなので、それを騙す仕掛けをつくるのも簡単なはず。
そう思って次はこの「ノックダウン'90」のサービスマニュアルを取り寄せてもらいました。

すると…


…や・は・り!!

圧力センサのような類のものはなく、アームの通過速度で測定しているようです。センサは5Vのフォトセンサ!しかもそれだけAssyになっていて独立したハーネスで繋がっています。これは乗っ取るの簡単そう、いやむしろ乗っ取ってくださいと言っている!

…まあそんな経緯で、最終的には「表示を乗っ取る」のではなく「センサを乗っ取り好きな得点を出せるパンチングマシンにしてしまう」という方針でのぞむことにします。

撮影はとある関東圏の倉庫。ノックダウン'90は撮影場所に運び込んでおくので、撮影前に事前にそこで改造作業をすることになりました。

で、
その倉庫を訪れると…

ふおおおおおおおおおお!!!!!!!111!!!!1!!!!
ふおおおふyっふぉあせdrftgyふじこlp

いんぐらむじゃあああああああいんぐらむがおるううううううう

とくしゃにかじゃああああああとくしゃにかがここにあるううううううううう
うがやsdvwくぁsd4え5vぐぇcbhjdv

……・・

つうわけでですね
まんま。
ほんと、まんっま
この景色がそこに広がっていたのでした。

いやなんつーかもう興奮したのなんの…

で、↑のバーチャルツアーにもちょろっと写ってますね、ノックダウン'90。
興奮しているばかりでは話が進まないので、これをハックします…。

(このあときちんと中継ハーネスをつくって、基板~センサ間に挟むだけで得点を操作できる“MODチップ”をつくりました。これはテスト中の様子)

実際のノックダウン'90についているセンサをいったんマイコンに繋いであげて、「通常モード」のときはそのセンサのON/OFF状況をそのままノックダウン'90の基板へ渡し、「接待モード」のときは自在にタイミングを変えセンサON/OFF状況を偽装するようにします。
途中、パンチをたたき込む時だけじゃなくそこから復帰する時にも通過センサーをちゃんと反応させてやらないと動いてくれない(そこでもちゃんとチェックしてた)とか、いくつか引っかかったところはあったものの…

最終的にはこんなふうになりました。


わりとタイミング微妙でときどき指定したスコアと1kgずれることがありますが、おおむねうまく動くようになりました。
(作りっぱですっごい適当ですが、ここにコード一式を置いておきます。MSP430G2553用…だったかな?)
これをTASと呼んでいいのかどうかはよくわかりませんがw少なくともTool AssistedなSuperplayであることには違いない。まあこんなこともできますよということで。

そしてこれが最終的に劇中でどうなったかは…


(「THE NEXT GENERATION パトレイバー/第2章」スタッフロール)

みなさんご自分の目でたしかめてください!w
そしてみんなもTNGパトレイバー首都決戦見に行きましょう!!!



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